378 :
人間七七四年:
湯浅常山、憤る。
「常山紀談」を著した湯浅常山。彼はその著書の中で、こんな事を言っている。
『つーかさ、甲陽軍鑑って、信玄に都合の悪い事を隠し過ぎだよねー。
例えば同じ合戦でも、北条五代記には「氏康夜討ちして甲州の兵敗北し。
八幡と書かれた武田の軍旗を捨てて逃げた」って書いてあるのに、甲陽軍鑑じゃ
「この旗は波にさらわれて無くした」なんて書かれてるんだよ?
北条五代記に書かれてる事が間違っているとしてもさ、高波に旗を取られたって、
どこに陣を敷いたかすらわかってないじゃん!』
尾瀬甫庵の「信長記」や「太閤記」は、案外素直に受け入れてるのに、甲陽軍鑑には
妙に厳しい常山先生なのであった。