戦国ちょっと悪い話8

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347人間七七四年
紀州に浅野長晟がいた頃の事。

地侍に何某と言う、かつて功名の沙汰のあったものがいて、今は山中に住んでいた。
浅野家ではこの何某の武勇に期待し、扶持していたが、この男、いつしか武技の鍛錬を忘れ、
蓄財に励むようになった。他人にそれを指摘されると

「財貨あればいつでも、諸道具、人馬ともに集められるわ!」と、聞く耳を持たなかった。

さて、大阪の陣が起こる。この男公言していたように、財貨を散じて人馬、諸道具を求め、
ゆゆしい装いで出発した。ところか、道を進むにつれ一人減り二人減り、所詮金で集めた者達ゆえか、
戦場である大阪に着く頃には全員逐電し、残ったのは自分とその馬だけと言う有様になった。

何某、これでは働きも出来ず、かといって紀州に帰るのも面目ないと、そのまま
行方不明になったそうである。

武士たるもの、普段から武芸を鍛錬し武備を備えていないと、いざ事あったときに
役に立たないのですよ。というお話。