戦国ちょっと悪い話8

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255人間七七四年
武功雑記に有る、非常によく分からん逸話なのだが…

加藤清正の家臣に、加藤善右衛門と言う者がいた。知行1万5千石を頂き、その知行所へ
受け取りに行った。
その頃清正は、堤権右衛門と言う者の屋敷に招待され、清正はその相伴として、
斉藤佐渡と共に、加藤善右衛門も呼んだ。

清正が風呂から上がったときに、丁度善右衛門が知行地から帰ってきた。
そこで善右衛門に「知行地の受け取りは無事済んだようだな」と言うと、善右衛門
「はい、受け取りました。ですが頂いた1万5千石のうち、500石はお蔵入り(加藤家の取り分)
なのですな。」と言い出した。

清正「何を言っておる?蔵入りなどわしは取っておらぬぞ。」と言うと、善右衛門
「いいや、あります。知行所のうち、500石ほど、まるで物なりのない場所がありまする。
そう言うことであれば、残りがより物成りがなければこれをカバーできませぬ。
ですから、500石はお蔵入りだと申し上げたのです。」

これに清正はもっての他と怒った。まあこんな事言われれば怒るのも当然であろう。
善右衛門がそれでも口答えするのを、斉藤佐渡が脇から抑え、立たせて御前を立ち去らせた。
が、清正の怒りは収まらず、「善右衛門を切腹させよ!」と言い出した。
そこで斉藤とあと2人の計3人がその場で、切腹の検使として任命された。

しかし斉藤、清正に「善右衛門、粗忽な事を申し上げ、ご不快にさせましたが、
もし、今後反省し、もう一度ご奉公したいと言うようであれば、切腹を許されてはいかがでしょうか?」
と、言上した。
これに清正も、斉藤がそこまで言うのなら、善右衛門が反省した場合、切腹を許さない事もない、
などと、はっきりしないがそんな風に言った。

そこで斉藤たちは善右衛門の所に飛んで行き、「我々は殿より、お主の切腹させるための検使として来た。
だが、後悔し反省するのであれば、それを許すとの御意であるぞ。」と言えば、善右衛門も

「過分なるお心遣い、ありがとうございます。私も慮外な事を言おうと思って、言ったのではないのです。」

それを聞いて斉藤、「ざっと済みたり。切腹いたすには及ばないぞ。」と言う。斉藤に付いてきた残り二人の
検使は「え?それでいいの!?」と不満顔だが、ここでも斉藤、「じゃあ待ってろ、殿の意見聞いてくる」と
清正の所に行き、うまく取り繕ったので、清正から直々に善右衛門の許しを得た。切腹は無くなったわけだ。

…と、ここまでなら、同僚が同僚を助けるいい話なのだろうが、その晩、加藤善右衛門、
肥後から退転。しかもそのついでに、自分の知行所の庄屋の所に行き、態度が
気に入らなかったからと磔にした。

 何 故 逃 げ た ?

つーか、  何  故  殺  た  し  !  ?

そんな肥後加藤家のよく分からない悪い話。