904 :
人間七七四年:
戦国の虚虚実実
徳川家康が浜松に居た頃の話である。
その頃徳川家中で、居城を浜松から見付にうつすべきではないか、との議論があった。
ところがその案を、甲斐の武田家が嫌がっている、との話が聞こえてきた。
家康がこれを家臣に質した所、酒井忠次は
「はい、私もその風聞は聞きました。
そこで密かに甲州に人をやり探りを入れました所、たしかに甲斐の者達、我らが見付に居城を移す事を
嫌がっている体でありました。
…が、殿?これを表面どおりに受け取るべきではないと、私は考えます。
信玄、あえてこのような情報を流し、我らを要害の地である浜松から見付に移させ、
これにより自分達の行動を自由にしたい、との心底であろうと、私は推察いたしました。」
家康も「これはそう言うことであろう」と同意した、とのことである。