戦国草紙 第四帖

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635松永霜台 ◆666.lKF8HQ
>>602
(ああ、なんとも寒々しい光景であるねえ)
(無邪気に喜んでいる氏綱も、賢しげに忠臣を装っている千熊丸も、どちらもなんとくだらないのだろう)
(はははは…)
(……さて、そろそろ消えてもらうよ。京兆どの…)

それでは、わたしはこの辺りで失礼いたしましょうね。
兵の用意と安宅水軍、十河衆の招集につきましては、…ん…、速やかなる手はずをもって整えましょう。

──退室し、邸へと向かう夜道──

さあて、如何に計らおうかね。
大規模な兵力の動員の目的を、内外に漏れないように注意を払え、かい。

ふふっ……

これは面白い。
きっと当家の土は赤黒い血を吸うこと数多だろうよ。

──その日以来、三好家は馬を集めて弓の手入れをし、来るべき戦の用意を粛々と進める。
計画の核心を知る者は当主三好長慶と謀主松永久秀、重鎮三好義賢のみであり、
また全ての采配も彼らの手によって行われた。
殊に、徹底した情報統制のために容赦のない口封じが行われたが、これらを一手に仕切ったのが久秀である──

兵壱「なあ、厨房を長く預かってたおやっさんだが、三日ぐれえ前から行方が知れないらしいぜ…」
兵弐「本当か? …何事も無きゃいいんだけどな。………!!!」

ざくっ

…とさっ……

隠密「………。」

さっ