日本人の前でそんな自己紹介をするのは、北京の中国社会科学院で近代史研究所長を務めた歩平
(プー・ピン)(63)。安井の長年の友人だ。
首相だった小泉純一郎(こいずみ・じゅんいちろう)(70)の度重なる靖国参拝は、日中関係を冷え込ませた。
事態を打開しようと、両国政府は2006年、歴史の共同研究チームを作った。中国側の座長を任されたのが歩だった。
抗日戦争などの研究をしている専門家。当時の日本の行動は厳しく批判するが、日本人とのふだんのつき合いでは
温和なことで知られる。
歩はこう指摘する。
「100年前の日本はアジアで最も進んでいたのに、人々は中国などに対して平等主義でつきあった。その精神は
今の我々にも必要なものだ」
日本と中国は今年の秋、国交正常化40周年を迎える。
「不惑」を迎えるにしては、両国の関係は成熟しているとは言い難い。
そんな現状を思えば、辛亥革命前後の日中の絆は太かった。当時の人々の熱い交わりを振り返りつつ、その精神を
今と未来に生かす道を探ってみたい。
http://www.asahi.com/jinmyakuki/TKY201203020294.html