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わたしには、親しくお付き合いさせていただいている在日・在米華人、華僑の友人が何人か
いらっしゃいます。かれらとは普通マンダリン(現代標準漢語)で話をしますが、かれらはそのほかに
英語、広東語、日本語を流暢に操ることができます。
非常に広い、グローバルな視野を持っておられるのが特徴です。たとえば、ある方は国籍が
カナダで、お仕事は八カ国にまたがり、二人の息子さんはそれぞれアメリカとカナダで市民権をお持ちで、
ご自身はシンガポールに生活と仕事の拠点を構えておられます。
このように書きますと、華僑はとにかく危機管理を考えるから、ですとか、中国人は波乱の歴史を
経験しているから−波乱の歴史ではない歴史というものがあるのかどうかは別にして−、といった
説明のようなものがすぐさま出てきそうなのですが、それは事情の一部を語るに過ぎないとわたしは思っています。
民族性、というよりは、或る集団が持つ発想の自由さ、柔軟な価値観に起因するように感じております。
なぜそう申すかというと、日本に長く住み着き、特に日本で生まれ育った華人華僑の方々は、
香港やマレーシアを拠点に活動されておられる方々に比べ、より「定住的」というか「定住志向」
であるように見えるからです。