『テーミス』 2012年3月号
竹中平蔵「世界塾」で人材育成とは厚顔だ‐「世界に飛び出せ」というが国民生活への責任は?!
・・・・竹中氏は欧州のユーロ危機、ダボス会議、英語の持つソフトパワー、米国の金融経済について
矢継ぎ早に講義した。 竹中氏の講義中、壇上のディスプレイに世界地図が映し出されたが、それは
米国が中心であった。 小泉内閣で「金融改革」「郵政改革」と称して、竹中氏は日本を混乱の淵に
叩き込んだ。外資に魂を売り飛ばした政策は日本を壊滅させる原因を作ったといっていい。
金融改革で打ち出した「金融再生プログラム」は、いわゆる「竹中チーム」で作られた。竹中チームは
プログラムで示した基本方針により、主要銀行に不良債権比率を半減させるよう求めた。それと同時に、
銀行が自己資本に組み入れる繰延税金資産を、ゼロないし1年分に圧縮するよう迫ったという。 これには
「貸倒引当金の積み立ては、米国では無税だが日本では有税なのだから、繰延税金資産の圧縮には
無理がある。主要行を破綻に追い込むのが狙いだ」(金融ジャーナリスト)との批判が上がった。 実際、
UFJ銀行は自己資本不足に陥り、増資したり資産売却したものの解消できず、三菱東京銀行に合併され
解散する破目になった。そしてUFJ銀行の大口融資先だった双日、ダイエー、大京、ミサワホームなどが
苦境に立たされ、なかには外資の餌食になった企業もある。
郵政民営化は米国が日本に突きつけた「年次改革要望書」に沿って進められたものだ。公的部門に
流れていた巨額の郵貯、簡保資金を民間部門に流すことにより、ヤ米国の財布ユにするのが狙いだった。
経済ジャーナリストはこういう。「小泉改革の規制緩和によってボロ儲けした企業などから、竹中氏
は1億円近い報酬を受け取っているといわれている。1人約100万円の授業料だという『世界塾』でも、
かなり高額な講師料を得るだろう」 国民生活を滅茶苦茶にしておいて、グローバルな人材育成に手を
出すとは、厚顔無恥もはなはだしい。
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