協力するが受けるの嫌 高齢者支援ボランティア
地域内で高齢者を支えるボランティア活動に協力的だが、支援を受ける側には回りたくない人も多い−。こんな結果が、地域での
高齢者支援活動について、県が初めて行った住民の意識アンケートで明らかになった。少子高齢化で独居老人が増える中、支援する
側とされる側の意識のギャップが浮き彫りになった。
アンケートは県内10カ所で昨年9〜10月、20〜90代の3990人に書面で実施した。
地域のボランティアでは、高齢者の見守りや災害時の避難支援のほか、話し相手になることが主に求められており、こうした活動
に「近所だから」「将来自分も世話になる」からと、全体の87%の人が「できる範囲で協力したい」と答えた。
一方で、支援を受けたい人は全体の31・7%で、受けたくない人も25・6%と多かった。特に支援を受ける可能性が高い
70代は「受けたくない」が36・7%、80代は28・3%おり、消極的な傾向が顕著だった。
受けたくない理由は「地域の人に気を使うのが嫌だから」が4割近くあり、最も多かった=グラフ参照。
県地域安全室は「支援を受けたくない人が想像以上に多かった。遠慮や我慢が大きい」と分析。ボランティア活動も「協力的な
住民は多いが、現実には活動に十分結び付いていない」と課題を挙げた。
調査を受けて、県は新年度、地域内で高齢者などを支援するモデル事業を県内1カ所で実施する。自治会などが主体となり、
公民館などに支え合いセンターを設置。高齢者も含めて地域住民にボランティアになってもらい、地域で遠慮なく支え合える仕組み
づくりを模索する。
県内の高齢者の一人暮らしは、5万7299人(2010年度現在)で、5年前から3割増えている。県地域安全室は「顔が
見える地域での支援は高齢者の安心につながるため、広げていきたい」と話している。