占領憲法無效論

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4( ○´ー` ○)はカワイイ ◆2.r4M.pJ.RBR
★占領典憲無効理由はトンデモ

>理由1 改正限界超越による無効

七三条の改正手続で成立したという理論上の矛盾を説明する最も適切な学説として大要
次のような趣旨の宮沢俊義の八月革命説を挙げることができる。

 1 明治憲法七三条の改正規定によって、明治憲法の基本原理である天皇主権主義と
真向から対立する国民主権主義を定めることは、たしかに法的には不可能である。
 2 しかし、ポツダム宣言は国民主権主義をとることを要求しているので、
ポツダム宣言を受諾した段階で、明治憲法の天皇主権は否定されるとともに国民主権が
成立し、日本の政治体制の根本原理となったと解さなければならない。つまり、
ポツダム宣言の受諾によって法的に一種の革命があったとみることができる。
 3 もっとも、この革命によって明治憲法が廃止されたわけではない。
その根本建前が変わった結果として、憲法の条文はそのままでも、その意味は、
新しい建前に抵触する限り重要な変更をこうむったと解さなければならない。たとえば、
明治憲法七三条については、議員も改正の発案権を有するようになったこと、議会の
修正権には制限はなくなったこと、天皇の裁可と貴族院の議決は実質的な拘束力を
失ったこと、国体を変えることは許されないという制限は消滅したこと、を認めなければ
ならない。
 4 したがって、日本国憲法は、実質的には、明治憲法の改正としてではなく、新たに
成立した国民主権主義に基づいて、国民が制定した民定憲法である。ただ、七三条による
改正という手続きをとることによって明治憲法との間に形式的な継続性もたせることは
実際上は便宜で適当であった。

 以上の八月革命説には有力な批判もあるが、この説の説くように、日本本国憲法は、
国民自身が自らの憲法制定権力に基づいて新たに制定したものである、と解するのが
妥当であろう。そう解すれば、明治憲法七三条は.「便宜借用」されたにとどまり、
その手続きによる改正という形式をとったからといって、明治憲法から日本国憲法への
連続性が確保されると考えることは、法的には不可能だと言うほかはない。
(芦部信喜「憲法」29-32頁)
5( ○´ー` ○)はカワイイ ◆2.r4M.pJ.RBR :2011/08/01(月) 11:13:51.65 ID:QQmxMnNv
★占領典憲無効理由はトンデモ

>理由2 「陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約」違反

占領下の圧力に屈して制定されたものであるから国際法(ハーグ陸戦条約附属の陸戦規則 四三条)に反し、
現行憲法は無効だとする(相原良一「現行憲法の効力について」)。 こうした主張に対しては、ハーグ陸戦条約は、
交戦中のみ適用されること、わが国の場合は 交戦後の占領であり、したがって、原則としてその適用を受けないこと、
かりに適用されると しても、ポツダム宣言・降伏文書という休戦協定が成立しているので、「特別法は一般法を破る」
という原則に従い、休戦条約(特別法)が陸戦条約(一般法)よりも優先的に適用される ことなどが指摘されている。
(芦部「憲法学1」187頁)

6( ○´ー` ○)はカワイイ ◆2.r4M.pJ.RBR :2011/08/01(月) 11:14:15.87 ID:QQmxMnNv
★占領典憲無効理由はトンデモ

>理由3 軍事占領下における帝國憲法と正統典範の改正の無効性

1946年(昭和21年)5月19日に起きたプラカード事件では、被告は不敬罪によって起訴され
裁判が行われた。この事実からも占領下であっても帝国憲法及び刑法が機能していたことは明白。
また、GHQによる占領はポツダム宣言の受諾によって連合国と大日本帝国とが交わした条約であり、
そこで求められた内容を施行する義務が日本にはある。同宣言にある「民主主義的傾向ノ復活強化ニ
対スル一切ノ障礙ヲ除去スベシ言論、宗教及思想ノ自由竝ニ基本的人権ノ尊重ハ確立セラルベシ」を
施行するためには、帝国憲法と皇室典範を改正する以外方法はなく、憲法を基軸とした各種の法律も
同様に改正する必要があった。帝国憲法は社会契約説を前提とはしておらず、また、言論・宗教及び
思想の自由についても天皇から授かった恩寵であるとの立脚点から、その自由は容易に制約を受け、
治安維持法に見られる言論弾圧の事実もある。また、近代憲法の原則である「法の支配」の理念が
無いため、民選議員の権限は極めて限定的であり、元老や重臣会議などの憲法外の期間による
国家運営の決定為されるなど、民主的とは言い難い運用が行われていた。
ポツダム宣言を受諾した日本はこうした一切の非民主的条件を除去する必要があった。
すなわち現行憲法に改正されるまでの間、日本国内では帝国憲法及び各種の法令は現実として
運用されており、その上位に連合国の監視が置かれていたと解せば、改正手続きに関しては取りわけ
問題になることはないのである。日本政府も天皇の権限も帝国議会も改正されるまでの間は
存在し、機能していた。
7( ○´ー` ○)はカワイイ ◆2.r4M.pJ.RBR :2011/08/01(月) 11:14:41.50 ID:QQmxMnNv
★占領典憲無効理由はトンデモ

>理由4 帝國憲法第75条違反

大日本帝国憲法 第七十五条
 憲法及皇室典範ハ摂政ヲ置クノ間之ヲ変更スルコトヲ得ス

憲法義解 第七十五条
慎んで思うには、摂政を置くのは、国家の変局であり、その常態では無い。故に、
摂政は統治権を行う事は、天皇とことなら無いといえども、憲法及び皇室典範の
何等の変更もこれを摂政の断定に任せるのは、国家及び皇室における根本条則の
至重である事は、もとより仮摂の位置の上にある。そして、天皇の外には誰も
改正の大事を行う事は出来ないのである。

以上の通り、改正は昭和天皇が行ったモノであり第七十五条条項に対して
何らの違反も存在しない。憲法義下が言う「国家の変局」とは、旧皇室典範の
第十九条二項「天皇久キニ亙ルノ故障ニ由リ大政ヲ親ラスルコト能ハサルトキ」を
指しており、現実として改正に至る課程においてこうした事態は起きていない。
また、摂政を置いた事実もない。したがって改正条項第七十五条違反にはならない。

>理由5 憲法・典範の改正義務の不存在
理由3への問題指摘と被ってくるが、南出は「憲法改正と典範改正を義務づける
条項がない」「憲法改正と典範改正まで要求していなかった」と主張しているが、
勿論それは間違い。ポツダム宣言が求めている「民主主義的傾向ノ復活強化ニ
対スル一切ノ障礙ヲ除去スベシ言論、宗教及思想ノ自由竝ニ基本的人権ノ尊重ハ
確立セラルベシ」であり、この要求を厳格に施行するためには憲法と典範を改正
しない限り実現できない。
8( ○´ー` ○)はカワイイ ◆2.r4M.pJ.RBR :2011/08/01(月) 11:15:15.31 ID:QQmxMnNv
★占領典憲無効理由はトンデモ

>理由6 法的連続性の保障声明違反
南出は昭和21年のマッカーサー声明による法的連続性の保障を盾にとって違反であると
しているが、勿論これも間違っている。帝国憲法との法的連続性は改正手続きを適正に
行ったことで確保されており、この場合の論点は、そうした事実をどの様に解釈するかによる。
南出はそれを違反であると解釈しているだけであって、天皇及び日本政府並びに国民の
大多数は南出と同様の解釈をしていないだけである。また、学説等を鑑みても南出の説は
異説に類するものであり、法制史及び法手続の解釈としては掘り下げが浅く弱い。
また、改正の限界を超えるのはポツダム宣言受諾という政治上の判断によるものであるから、
それを受諾した限りにおいて昭和天皇及び日本政府の判断であると言うほかない。
法的な解釈は八月革命説で決着している。

>理由7 根本規範堅持の宣明
南出の言う「ポツダム宣言受諾日の昭和20年8月14日の詔書」とは、正式名称は
「大東亜戦争終戦ノ勅書」のことであるが、「非常ノ措置ヲ以テ時局ヲ収拾セムト欲シ」とは
戦争終結のための措置を指しており、「並の程度でないさま」を意味する。つまり、
それまで行ってきた戦争を維持し得ない状況であるから非常の措置が必要となった。
南出の主張だと、あたかも緊急避難的に取られた措置であるかの印象を持つが、勿論
そんなことでは全くない。それは同時に発せられた内閣告諭でも明らかだが、
「世界の和平と臣民の康寧とを冀はせ給ひ茲に畏くも大詔を渙発せ」たのであり、
南出の考えるような「取りあえず緊急事態だから受け容れる」といった、その場しのぎの
理由によるものであは決してない。
また、「大東亜戦争終戦ノ勅書」による「國體ヲ護持」に関しても、南出が認識している
「正統憲法と正統典範の上位に存在する根本規範である國體を堅持することを宣明」という
捉え方は間違いで、勅書は「既往に拘泥して同胞相猜し内爭以て他の乘ずる所」と
なり得ない様に「國体の護持」を勘案し、「激して軽擧を妄動し信義を世界に失ふ」
(内閣告諭)事のない様に求めているだけである。
9( ○´ー` ○)はカワイイ ◆2.r4M.pJ.RBR :2011/08/01(月) 11:15:47.69 ID:QQmxMnNv
★占領典憲無効理由はトンデモ

>理由8 憲法改正発議権の侵害

南出は「発議権」の意味を分かってない。現行憲法でも発議権は国会にあり、草案をどの
組織なり人物が作成したかは問われない。仮に自民党案を国会が採択した場合、それを
発議するのはあくまでも国会である。同様に帝国憲法においても発議権は帝国議会にあり、
(帝国憲法第七十三条一項)誰が草案を書いたかは問われていない。

>理由9 「帝國憲法発布勅語」違反

南出は「告文と勅語も憲法典と同様に憲法規範を構成する」と書いているが、
こうした珍論はおよそ法規範上あり得ない。憲法を含む実定法は布告文や勅語などに
拘束されないのは論を待たない通説であり、前文といえど法規範に属さないというのが
判例通販を含む多数説である。帝国憲法施行時に既に通説となっていた法実証主義を
彼は理解していない。

>理由10 政治的意志形成の瑕疵

先ず、南出は具体的に改正手続き上「何が瑕疵された」のかを明らかにしていない。
南出の言うとおりプレスコードなど言論に一定の制限があったのは事実だが、それが
改正手続き上政治意思の決定に対してどの様な瑕疵が存在し、またそうした瑕疵が
どの程度の影響を与えたのかを明らかにしない限り言いがかりの域を出ない。
少なくともGHQは政府松本案とGHQ案を国民に明らかにした上で、国民が選択する
方法を提案しているが、それを拒否したのは日本政府側である。
10( ○´ー` ○)はカワイイ ◆2.r4M.pJ.RBR :2011/08/01(月) 11:16:15.21 ID:QQmxMnNv
★占領典憲無効理由はトンデモ

>理由11 改正条項の不明確性

南出は「全面改正」が行われたことに対して無効理由に値するとしているが、
これも勿論言いがかりである。芦部の言うとおり、憲法七三条は.「便宜借用」されたにとどまり
現実としては法的革命が起こったと解するのが正しい。ポツダム宣言は「民主主義的傾向ノ復活強化ニ
対スル一切ノ障礙ヲ除去スベシ言論、宗教及思想ノ自由竝ニ基本的人権ノ尊重ハ確立セラルベシ」を
求めており、天皇と日本政府はこれを受け容れている以上、改正条項についての些末な解釈を
持ち込む余地はない。

>理由12 帝國議会審議手続の重大な瑕疵

南出によれば「帝国議会の審議が不十分」とのことだが、こうした認識はおよそ主観に基づくもので、
どの程度の審議時間が妥当かを示していない。また、帝国憲法四十条にある建議条項は、
憲法改正と典範改正の絶対条件ではないから、牽強付会のこじつけと言わざるを得ない。