資本主義というOSは不具合が多発だ!part19

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19名無しさん@3周年
ほい

http://mainichi.jp/enta/book/hondana/news/20100425ddm015070017000c.html
今週の本棚:白石隆・評 『体制移行の政治経済学』=中兼和津次・著 (名古屋大学出版会)毎日新聞 2010年4月25日
 ◇体系的に論じられる新たな資本主義

 1989年のベルリンの壁の崩壊と旧東欧の民主化、1991年のソ連邦の解体から20年、1978年の中国の改革・開放からは30年以上の時が経過した。
 これらの国々の中には、中国、ベトナムのように党国家体制を維持しているところもあれば、中欧諸国のように民主制のところ、またロシアのように党国家とは違うタイプの権威主義体制に転換したところもある。
 しかし、経済体制としては、すべての国で社会主義から資本主義への転換が起こった。なぜか。その過程はどのようなものだったのか。その首尾はどう評価できるか。

 これが本書の目的である。したがって、本書では、この30年の社会主義から資本主義への体制移行の経験が、社会主義の理念、社会主義経済の現実、社会主義崩壊の理論的根拠、体制移行戦略、移行過程、移行の結果と評価といった観点から、体系的に論じられる。
 その意味で、本書は、体制移行研究を概観する上で非常に貴重である。しかし、こうした本書の性格上、その趣旨をバランス良く要約することはできない。
 その代わり、ここでは、これらの国々における政治体制の持続と変容にも関(かか)わる論点を三つ、紹介しておきたい。

 その一つは体制移行過程の違いである。社会主義から資本主義への移行に際し、国によって、政治体制の改革を優先させた国もあれば、政治体制を維持したまま経済体制を変化させた国、さらにはソ連の崩壊によって体制移行をよぎなくされた国もある。
 しかし、その過程で、中国は高度経済成長を遂げ、一方、ロシアは惨憺(さんたん)たる状況に陥った。そのためであろう、評価としては「中国の成功、ロシアの失敗」と対照されることが多い。
(つづく)