不良債権問題の解決はヤクザの殲滅から114

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産出量の大きさは、投資と消費からなる有効需要の大きさによって決まる… 。
政府の財政出動は、「乗数効果」によって、その何倍もの有効需要を生み出し、
景気回復をもたらす…と。
ケインズ革命とも言われるこの思考転換は、1930年代の世界恐慌におびえる
経済学者や政治家たちを虜に
(略)
危機を脱するや、再び古典派経済学が,新古典派総合という名のもとに復活し、
「技術革新」による新製品の開発こそが経済発展の本質である…
という経済学的言説が、グローバリズムの名のもとに世界中に蔓延して行く。
それを先導したのが、フリードマンとその弟子たち(ベッカー・シカゴ大教授、サマーズ・財務長官等…)
を中心に形成され、イMFや世界銀行を、さらにはクリントン政権の世界経済戦略をも動かす
ほどの力を持つに至った、いわゆる「シカゴ学派」、【新自由主義】の経済学者たちだ。
彼らは、ケインズを嘲笑しつつ、社会主義的な「福祉国家」を批判し、
【小さな政府】と「緊縮財政」【公企業の★民営化】を各国に要求し、
結果的に発展途上国の国民経済を破綻させ、多国籍企業を優遇する事になった。
(略)
マルクス経済学もケインズ経済学も、ともに「不況」や「恐慌」を前提にしている。
したがって両者とも国家統制的側面を強く持っている。
(略)
しかし、効率化を重視するエコノミストたちから見れば、公共事業こそは「税金の無駄
使い」であり、財政悪化の根本原因と見なされる。そして激しい批判の標的になる。
しかしこの批判は、 ●「節約」や「倹約」が経済学的には不況の元凶になる●、
というケインズ革命の意義を理解しない見当ハズレの批判に過ぎない。いわば、ケインズ
経済学は、冷戦の終結によってもたらされたアメリカ的価値観の勝利という思想風潮に
撒きこまれて、一種の「マルクス主義的なもの」として排斥されたと言っていい。しかし、
(略)
悪質なデフレ・スパイラルの罠に落ちこんでいる経済にとってはケインズ経済学は有効なのだ
(略)
ケインズ以前に、わが国の昭和初期の金融恐慌を救った高橋是清蔵相も、無意識に
ケインズ的な総需要喚起政策を実行したと言われている。つまり、高橋蔵相が、ケインズ
理論とは知らずに実行し成功させた、いわゆる財政出動とマネーサプライによる需要中心
の景気回復政策に、ケインズは理論的根拠を与えることに成功した