http://yamazakikoutarou.gooside.com/eco.html ◆エコノミスト亡国論 山崎行太郎
(略)
「合成の誤謬」という経済学的基礎概念を忘れ、国家経済をあたかも家計や企業経営
のレベルでしか理解しようとしないエコノミストたちの振り撒く言説こそがデフレ不況の元凶
であり、しかも彼らの存在こそがデフレ不況からの脱却の妨害者でもある。
しかし、未だに日本国民の大多数は彼らが発信する「構造改革」や「創造的破壊」
というような美辞麗句に酔い痴れ、その美辞麗句こそが、リストラや企業倒産や
自殺者増加の元凶になっているという現実に気付いていないように見える。
(略)
最近の日本のエコノミストの多くは、アメリカ留学組がほとんどであり、いわゆる「新古典派」
とか「新自由主義」、あるいは「マネタリスト」とか呼ばれるアメリカ経済学の影響下にある。
彼らに共通しているのは、マルクスやケインズのような経済学は無効だという思想的前提
である。とりわけ、アメリカの経済学がつい最近までケインズ経済学を信奉していたと言う
過去があるだけに、ケインズ経済学への批判には根強いものがある。
ケインズ経済学の本質は「需要」の重視であるが、反ケインズ主義化したアメリカの経済学は、
「技術革新」や「合理化・効率化」を重視する【サプライサイド経済学】である。
個々の企業を効率化し、新技術を開発して行けば国民経済は回復し、ふたたび
高度経済成長も夢ではない、というような発想だ。
これは、サプライサイドよりも需要・消費側を重視するケインズ経済学の基本哲学と矛盾する。
(略)
「供給サイド」の経済学から「需要サイド」の経済学へ。これがケインズ革命である。
(略)
しかし「世界恐慌」という例外状況を忘れたアメリカ経済学は、ふたたび楽天的な
古典派経済学へ逆戻りし、ケインズ経済学の革命的な意義を忘れ様としている。
それが、日本のエコノミストにまで蔓延している【サプライサイド経済学】であり、
それこそが「デフレ不況」の根本原因となっている病巣である。
(略)
1936年に、ケインズは「有効需要」の概念を中心に据えた新学説『雇用・利子
および貨幣の一般理論』を発表する。ケインズは、古典派以来の自由放任主義の
経済に代わって、国家の経済への積極的介入による需要喚起政策の必要
を理論化したケインズ経済学を主張したのである。