>アメリカの高成長を支える仕組み 旧【プレトンウツズ体制】では、大戦の被害をまったく
>受けなかったアメリカが大戦後の世界経済をモノ、カネ両面から支え、ヨーロッパや
>日本の経済復興を支えた。しかし、【●新プレトンウッズ体制】は、一九七〇年代までの
>アメリカを中心とする【旧プレトンウッズ体制】とは、その性格が大きく異なる。(略)
> @ 「中心国」アメリカの内需がグローバルな実体経済の牽引役として世界経済の
>成長を支える。 A その代償としてのアメリカの経常収支の赤字を「周辺国」
>(東南アジア諸国、BRICS、 および産油国)の公的外貨準備が支える。これが、
>アメリカの長期金利を低位安定させ、この低金利がさらにアメリカの高成長を支える。
> B 欧米先進国の金融資本市場はすでに一体化しているため、自由な資金移動によって、
>先進 主要国の長期金利は平準化される。 C 【●新プレトンウツズ体制】では、
>従来は一次産品産出国であった新興経済圏における製造業の発展に注目する。これら
>新興経済圏における製造業の発展が、電力需要や原材料需要を拡大させ、一次産品
>価格の高騰を導き、これらの国の経常収支黒字を拡大させている。従来、新興経済圏
>は投資超過国として、ネットでは諸外国からの資金流入が海外への資金流出を上回り、
>その結果、経常収支赤字国となるのが常態であった。今日では、これらの国は経常
>収支黒字国となり、これらの国の外貨準備が、債券投資という形でアメリカに還流
>することによって、アメリカ国内の資金不足(貯蓄投資バランス上の貯蓄不足)を
>埋め合わせている。そのため、アメリカは膨大な経常収支赤字を生みながらも、
>ドルの価値は安定し、高成長を続けることができるという新たな世界経済の構図が
>でき上がっている(図4・1)。すなわち、
>旧【プレトンウッズ体制】では、モノとカネの親方の出所がアメリカであったのに対し、
>【●新プレトンウツズ体制】では、モノ、カネ親方が、周辺国からアメリカに流入する一方、
>アメリカは周辺国のモノの生産を促進させる総需要をつくり出しているのである。