官僚によるマインドコントロール()捕鯨問題-10’

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277名無しさん@3周年
とが読みとれる。もっとも、68年の最初の自伝では多少書き方が異なっている。そもそも全体が、自分の生い立ちから始まり(彼は英国人だがインド出身である)、アフリカで金鉱探しと野獣狩りを初めとする放浪と冒険の生活を送ってきたことが率直な筆で述べられていて、特
に構えずとも面白く読める本なのだ。しかしそこでも、例えばツルカナ族について、英国の政策によって不当にも荒蕪地に居住を強いられた不遇な民族だとか、彼らから英国が火器を取り上げたのはエチオピアからの侵入者が火器で武装したことを考えるとまずい政策だった、と
述べているし、22) ヨーロッパがアフリカに勝手に国境線を引いてもアフリカ人はそれとは無関係な生活をしているという指摘もある。23) また大戦中に宗主国の都合で野生動物が大量に殺された一件にはきちんと言及している。24) 英国やヨーロッパの政策を批判的に見る目を
彼がその時点で持っていたことは明らかだ。マウマウ団についても一章を設けている。概してこの集団に否定的ではあるが、最後は次のようにまとめている。こうした陰惨な思い出がどんなものであったか、それは当時、現地に暮らしてみた者でなければわからない。だが、ケニ
アの大統領が言っているように、すべての憎しみや悲惨さは、もはやことごとく過去のものである。すべてを忘れ去り、われわれは未来へむかって進まなければならない。そして、われわれが未来にむかって望むものは、このすばらしい大陸に、平和と幸福が訪れることなのだ。
25) これを先のD.で引用したジョイの記述と比較してほしい。表面的には同じように見えるかも知れないが、実は明瞭に違う。ジョイがケニアにおける争いの実体を見ずに綺麗事を言っているのに対し、ジョージは独立ケニアにあっては住民全員が国家の建設に前向きにとり組
まねばならないという大統領の訴えかけをしっかり受け止め支持しているのである。争いはあったし今もある。だが未来に向けてそれを乗り越えなければならない、そう彼は大統領と共に述べているのである。妻ジョイの先の記述の10年も前のことだ。ケニアの現実を見る目は、
ジョイとジョージでこれほど違っている。マウマウ団ばかりではない。密猟についても、ジョイにはそれが現地人の生活習慣や仕事の無さと結びついているという認識が希薄なようだ。密猟について『エルザ』第二部と第三部で考察しているが、彼女の目は表面的な部分にとどま