官僚によるマインドコントロール()捕鯨問題-10’

このエントリーをはてなブックマークに追加
254名無しさん@3周年
た。しかしフランスの聖域案はこの年のIWCでは通らなかった。そうした結果をふまえて、2度目の社説は前者の主張に配慮して書かれたのではなかろうか。 ここに見られるように、この頃から朝日の社説が状況追随的になっている(これが第二の要素なのだ
が)のは悪い意味で注目に値する。批判能力が減退し、周囲にずるずる引きずられるような社説は、日本のオピニオンリーダーたる責務を自ら放棄しつつある朝日の姿勢を暗示している。ところで朝日の内部抗争だが、それを明示する記事が4月23日に掲載され
ている。捕鯨問題について、捕鯨派の編集委員・土井全二郎と反捕鯨派の編集委員・石弘之とによる「捕鯨対論」が掲載されたのである。紙面の左右を使ってそれぞれが持論を展開するという構成であった。 石は環境問題の専門家と目されており、岩波新書か
ら『地球環境報告』『酸性雨』といった著書を出していた。この反捕鯨論を書いた翌94年に朝日新聞を退社し、96年からは東大教授になっている。彼は前述のように87年にも反捕鯨を主張する署名コラム記事を書いている。しかしそれは分量的には多くなかった
ので、本格的な持論を展開するのは初めてであった。またそれは、神谷のような外部執筆者でなく、反捕鯨派の自社記者が姿を現したという意味で、朝日の姿勢転換を示す事件でもあった。 ここでは、「畜肉ならいいのか」と題した土井の主張には多くは立ち
入らない。長年捕鯨問題と取り組んできた土井は、資源量に関わりなく捕鯨に反対するIWCの奇妙奇天烈さ、自国アラスカ原住民には捕鯨を認めながら日本の沿岸捕鯨にすら反対するアメリカの身勝手さなどを簡潔に批判している。 では石の主張はどうか。
彼は、欧米の反捕鯨論者が述べる論拠は様々だが、日本に最も伝わっていないのは「日本の水産に対する抜きがたい不信感である」と言う。その論拠として彼が挙げるのは、近年鯨の代用品として沿岸イルカ漁が増えており、資源が減少しているということなの
だ。そして鯨密漁の「うわさ」や密輸事件を挙げて、日本の水産行政は信用できないと言う。として、捕鯨の研究的側面を強調しつつ、聖域案を否定している。実は12日前の社説とこの社説がどの程度違うか、かなり微妙なところがある。というのは、前の社説