270 :
名無しさん@3周年:
+-kaizu.02117 94/04/09 00:54 [ 島の娘 ]__________ 水口憲哉講演録
http://fenv.jp/20030331/meslist/kaizu02b.htm#kaizu.02005 Q:プレステージのときに、突然ミンク鯨の異常発生という話が出て、こちら
は度胆を抜かれてしまったんですが、間引論というのはどうなんでしょう。
A:間引論というのは、捕る側がいつもやる話です。今言った、年令とか成熟
とかを考えて捕るというのはひとつの間引の考え方で、これは、実際には、養
鶏、それから、牧場、豚牛でもやっているわけでしょ。昔だと廃鶏といって、
卵を産まなくなっちゃった鶏をつぶしてたわけでしょ。考え方そのものは特別
じゃないんです。利用しようと思ったら出てくるわけです。
その前に異常発生というのが曲者で、ミンクでもニタリでも、特にミンクにつ
いては諸説様々で、100万のレベルだといったり、何10万だといったりして、
それで、だいたいこのぐらいいるんじゃないかというのが、IWCの中で了解事
項になってきているというだけで、そんな細かい話で増えるメカニズムなんか
わかってないんです。だから、そんなのはもう、都合のいいいい方ですよ。
だから、原さんが、大隅氏に言わせてるでしょ。資源論争の中で。最後彼が何
といったかというと、「私も役人ですからね」と、これに尽きるんですよ。だ
から、うちの大学で、田中昌一さんというこの人はまともなまじめな人なんで
すけれども。その人でも、日本の一番のブレーンになっているんですよね。国
際捕鯨委員会の。その人と、87年に学内で研究会やったときに徹底的に質問し
たら、最後には彼も同じことをいうんです。「最後は政治ですからね」と。
だから、わからない人間に対しては科学論で来るんです。科学技術論。だけ
ど、政治の問題であり、経済の問題だといわれれば、だれでもわかるんです。
みんな金使って生活しているわけですから。そういう見方でくくると向こうは
困るし怒るんです。原発もそうです。ですから皆さんも、日常考えていること
や常識から考えてけば、向こうはすぐ参りますよ。そういうケンカは非常に難
しいんですけれども。
271 :
名無しさん@3周年:2009/01/04(日) 19:15:48 ID:5NppVsrU
Q:過去の捕鯨は確かに金儲だったでしょうが、いまの調査捕鯨は金にならな
いから、批判する対象にならないのではないですか。また、少なくとも10万や
20万はいるはずのミンクを、たかだか300頭捕ったって、影響ないんじゃない
かと思うし、実際捕ってみなければわからないこともあるわけですから、そう
すると、調査捕鯨反対、という立場には立ち切れないのですが。
A:僕は調査捕鯨なんかやらなくてもいいと思っています。ただ、本当に調査
捕鯨だったらね、ウォッチングでいいんですよ。殺さなくてもいいんです。た
だ、これは本当に金儲にならない。何の見返りもなしに船走らせるんですか
ら。いっぱいの人乗せて。もともとの資源量推定に一番役だっているのは目視
ですからね。本当に鯨のことを思えば、衛星使えばあっさりわかるんです。戦
車が個々に識別できるし、鯨はかならず浮いてくるんですから、それを計算す
るプログラム考えるのは簡単ですから、船出さなくてもわかるんです。画像を
買うお金さえあればね。
272 :
名無しさん@3周年:2009/01/04(日) 19:21:16 ID:5NppVsrU
Qさっきのミンクの異常発
生についてはどうなんでしょう。
Aだいたい、そういう議論にはインチキが多
いんですよね。何が増えて餌の取り合いだとかっていうのはね。基本的に生態
学の考え方で、餌の取り合いなんていうのはないんだという考え方もあるんで
すよ。これはもう、ダーウィンの進化論とも絡んでくるんですけれども。餌の
取り合いがないんですから、片方が増えたから片方が減るということは起こら
ない。たいてい人間の側の思い込みがあるわけです。それは先程のキリスト教
の考え方ともくっついてくるんですが。
ヒゲ鯨の餌、オキアミを例にとりましょう。水産業界は、鯨が減ったから、オ
キアミ捕ってもいい、っていう考え方だったんですよ。いまになって、餌が足
りないような話をするのはおかしいし、逆にオキアミを捕るんだったら、それ
を人間が食うよりは、オキアミを鯨資源に変えて捕ったほうが有効だ、という
考え方もあるんです。そういういろんな考え方があるんだけれども、オキアミ
の量すらちゃんとわかってないんです。レベルとしてどれだけいるか。餌のほ
うもわかってないし、食う側もわかってないし、まして、歯鯨の仲間の餌にな
っているイカなどは全くわからないわけですから、漁業の資源の対象になって
いないからわからないのを、わからない人に勝手にいってるだけです。
273 :
名無しさん@3周年:2009/01/04(日) 19:27:35 ID:5NppVsrU
85年の記事で次のようなのがあります。
『鯨の恩返し』なんかは、鯨にも自動車にも強い日本。ですよね。
『捕鯨撤退に摩擦の影、犠牲に補償の声も』
すぐに補償というのが出てきますね。自分たちの責任じゃない、という。調査
捕鯨を強行するのもそうですね。自分たちが悪いんじゃないんだと。われわれ
はまっとうなことをいって、経済的な、科学的なことを知りたくて調査するに
もかかわらず、これもやめさせられるという、いかに理不尽かという世論が作
られているでしょ。そうすると補償は出やすいわけですよ。
274 :
名無しさん@3周年:2009/01/04(日) 20:12:23 ID:5NppVsrU
+-kaizu.02117 94/04/09 00:54 [ 島の娘 ]__________ 水口憲哉講演録
http://fenv.jp/20030331/meslist/kaizu02b.htm#kaizu.02005 鯨のことについてはいろいろ発言してきいます。この5月の集会のときに、400字で意
見をといわれましたが、400字でなんか書けない、ということで、電話で30分ぐらい話し
たら、じゃ、一度みんなで話す機会を作ろう、ということで伺ったわけです。で、いま
まで発言したことなどを資料としてお渡しします。
私は1972年から水産大学に勤めておりまして、増殖学科という、いろんな水産物の殖
やし方、殖やしてどう捕るかということをやっています。講座の名前が「水産資源」で
す。そういうところにいて、いろんな殖える魚を調べてきました。そういう中で、1974
年に、創刊間もない雑誌の『アニマ』の、主張という欄で鯨のことについて書いたの
が、多分、初めての発言だったと思います。「いま、もう鯨は捕り方が間違っていたか
ら、非常に危険な状態にあるから、捕獲10年禁止というのはやむを得ない」という内容
でした。
275 :
名無しさん@3周年:2009/01/04(日) 20:15:20 ID:5NppVsrU
そのときに、「水産庁とか業界は、乱獲ではないし、科学的に獲っているのだから、
と言っているが、実際に捕鯨船に乗っている人たちから実状を聞くと、捕りすぎだから
やめたほうがいいということを言っている。そして、業界として捕鯨をやめていった場
合にはいままでそれで生活していたひとたちのことをも考えて水産庁と水産会社は転換
をしていくべきだ」、ということをいったわけです。
水産の中でそういうことを言う人間はほとんどいないんですね。水産の人間は今も昔
も変わらず、大政翼賛主義で、みんな一丸となって、捕鯨はいいことだから、捕りすぎ
ではないし、捕っていい、というのが大部分ですから、水産の側でそういうことをいう
のは少ない人数です。この年と、その3・4年後にテレビで鯨のことについて発言してい
ます。1974年は、『アニマ』を読んだ12チャンネルのディレクターの依頼で、働く人の
場から、という切り口が必要だからということで、そういう点から、鯨の問題について
話しました。NHKの『明るい漁村』という番組で、鯨問題を取り上げて、いまだったらあ
あいう作り方にはならないと思いますが、その当時は、一応、捕鯨交渉の団長の、水産
庁の、米沢という代表と、それから小原秀雄さんとが対談する前に、いろいろなコメン
トが流れるところで私もしゃべっているんです。そのときには、どこを探しても、鯨は
とりすぎだからやめたほうがいい、という人は水産の側ではいなかったのでNHKとしても
私なんかには話させたくなかったのでしょうが、「鯨を捕る側は問題のすり替えをして
いる」点について述べました。
276 :
名無しさん@3周年:2009/01/04(日) 20:18:07 ID:5NppVsrU
水産側は大型のシロナガスとかマッコウについては完全に捕りすぎであるにもかかわ
らず、科学的に調査して捕りすぎではないということを言っています。当時はいま問題
になっているミンクやニタリは捕ってなかったんですね。これらは小さいから、経済的
に合わないということで、同じ油をつかって南氷洋まで行ったら、2〜30倍なんですね、
重量にして。というのは長さで3倍ということは重量にすると3の3倍ですから三九-二十
七でま、だいたい、2〜30倍なんです。そうすると、同じ手間かけて一発ドンと撃ったら
ば、2〜30倍のものを捕ったほうが得だということは、資本の論理で、そういう小さいの
はほとんど捕ってなかったわけです。ですから、いっぱいいたのは事実ですが資源の状
態もわかってませんでした。
その当時1973年に、鯨のほうの研究では多分一番利害抜きに水産庁の役人として、も
っともよくやった人として、いまでも彼のその資料をつかっていると思いますが、土井
さんという人が、魚類の資源診断ということで、中央公論の『自然』という雑誌に書い
てて、その中ではっきりと、「今やっている鯨の10年間取り止めは当然だ。ただし処女
資源であるミンクやニタリはまだ捕れるだけのレベルはいるんだ」ということを書いて
います。その当時、もう一人、いま遠洋水産研究所に行っている、その前、鯨類研究所
や東大の海洋研究所にいた粕谷さんなんかも、ストックホルムの環境会議を受けて、
『公害研究』なんかにも書いています。
277 :
名無しさん@3周年:2009/01/04(日) 20:21:23 ID:5NppVsrU
当時は、ミンクやニタリのことや、太地や鮎川や和田浦での沿岸の小型捕鯨について
は何も水産庁や業界は言わなかったわけです。ただ、大資本がやっている遠洋の大型の
鯨について守ろうと、それは正しいんだということだけだったんですね。だから私は、
ひとつはそういう問題のすり替えでですね、いままで乱獲だったにもかかわらず、その
ことを反省しないで、次にミンクやニタリを捕るときに、それらについては、資源はい
っぱいあるし、乱獲もしてないという言い方をして、鯨の種類をすり替えて議論をはじ
めたんですね。この点は、おかしい。
もうひとつは、その当時、水産業界の中に心積もりとしては、いまから15年前にすで
に捕鯨業から撤退を決めてましたから、鯨研の人全部を移して、鯨研というのは元々企
業が自分たちのために作った研究所ですから、企業の論理を優先させた研究所ですか
ら、それをいまさら鯨研がどうのと言ってもしょうがないんですが、もうからなくなっ
たらそういうことに金をかけるのは馬鹿らしいから、生首切るわけにいかないから東大
とか水産庁とかそういうところへみんなやったわけです。で、そういう中で、実は補償
という問題が出てきた。国際的な(ストックホルムの環境会議を含めて)世論で日本の
水産業界は何も悪いことがないにもかかわらず、捕鯨をやめざるをえなくなるのだか
ら、それは業界について補償すべきだという論理です。日経あたりがそれを書いてまし
た。そうなりますと、米沢という水産庁の次長はやめて水産庁を定年になりまして、日
本水産に勤める。天下りですね。のちに副社長になります。そうしますと、彼は国際交
渉をして結局は鯨はだめだという話になって、世論として漁業補償ということになれば
手土産つきの天下りということになりますよね。そういうことをやっている。
もっともこのくだりはNHKがカットしまして、そのコメントのあとに、小原さんと米沢
さんの対談が続いたわけですが、彼がカンカンになりまして、僕はたたかれっぱなしに
なりました。
278 :
名無しさん@3周年:2009/01/04(日) 20:25:22 ID:5NppVsrU
世論的には、その後プレイボーイなんかが取り上げて、つまり庶民感情にあいさえす
れば、マスコミはやるんですけれども、鯨の問題を取り上げて、私のコメントも取り上
げて、結局は、鯨の問題はわれわれが鯨鯨で騒いでいると税金をそういうことにつかっ
て、馬鹿を見るのは国民だという記事にしたんですね。鯨を守れ守れということをいっ
ていて結局はしょうがないという形でみんなが同情して水産会社に漁業補償が行くとい
うこんな馬鹿な話はないんです。
それを読んだうちの学生から、大学祭で話すよう頼まれて、今度は、それを、水産業
界でキャンペーン雑誌で、イカとかマグロの大手中小の企業を相手にして売れている
『水産世界』という雑誌の記者が聞きに来てまして、それ以後つきあうようになって大
分議論して、いろいろお互い、情報を交換しながら話をしています。
NHKに出たらその後すぐ、日本捕鯨協会の蓮井専務が、どっさりパンフレットを送って
きて、あわててオルグしに来たんですけれど。ま、こっちが普段思ってることを聞くと
否定できないんですよね。事実として。一般的に世論操作でされている部分と、業界で
の本音とか実情というのは、そういうことがあるんです。