アメリカの国民はドル(アメリカの力)不信に陥った 11月12日 増田俊男
http://www.chokugen.com/opinion/backnumber/h19/jiji071112_439.htm 2001年9月11日の同時多発テロで「いきり立った」アメリカの国民は、
今「意気消沈」している。中東や北朝鮮問題でも国民には強気外交を
支持する気力はなく、かつての攻撃体勢は今や撤退ムード一色である。
アメリカの国民にとって、100ドルになんなんとする原油高は生活を
直撃すると同時に、中東第二の石油大国イランへの敗北感を募らせる。
また、110円のドル安は最大の経済競争国日本への敗北に映る。
そして国民はブッシュ政権の無能さをののしり、アメリカの力のシンボル
であるドルをまるで紙くずのように感じ始めた。
世界でも同じである。99年のユーロ誕生時、世界交易の50%のシェアを
誇っていたドルは、今や24.5%に落ち込み、37.7%のユーロに世界市場
を奪われようとしている。中国をはじめ、貿易黒字国の外貨準備のドル
離れが続く。もはやドルは世界の通貨とは言えなくなったのである。
◆本物志向の時代がやってきた
マネーそのものは価値を生まない。投機市場での儲けと損を足せば
ゼロになる(ゼロサム)。儲かったと喜んでいる者の金は、損した者の
金である。株の儲けは売ったときの値段から買ったときの値段を引いた
差額であって価値ではない。今日までは価値を生まない世界が価値
を生む世界を圧倒してきた。しかし、人々はやっと興奮から目覚め、
「差」と「価値」の違いに気がつき始めた。
ゼロサム世界の衰退が始まり、モノ作り(価値つくり)世界が再確認
される時が来た。先物市場で一攫千金を得た者たちの破綻はアメリカ
の衰退の象徴であり、モノ作り国日本の再確認と台頭である。
今後、世界のマネーは、「差」ではなく「価値」を求めて動く。