【マスコミに代わり】年次改革要望書を読み解くスレ3

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622名無しさん@3周年
五十嵐レポート
 三菱UFJ投信株式会社 発行2007年3月14日
ttp://www.toyota-fss.com/pdf/information/pdf/070320_mitsubishi.pdf

ヘッジファンドは円を借りていない

 広い意味で円キャリートレードと呼ばれる取引にはずいぶん種類があるようですが、一般に認識されている典型的
なものは、「ヘッジファンドが(銀行から)円を借りて何かの資産に投資する」というものだと思われます。
 しかし私が知る限り、少なくとも日本の銀行がヘッジファンドに円で投資資金を貸しているという事実はありません。
 それに、かりに融資することがあったとしても、リスクの多い取引をするヘッジファンドにお金を貸す以上は、
貸出金利には当然それに見合ったプレミアムが乗せられるに違いありません。
そもそも投機家が低い金利で円を借りることはできないと思います。ではヘッジファンドが米国債を担保に差し入れる
という方法はどうでしょうか。これならお金を貸すほうにも安心感があります。しかしこの場合でも、貸出金利は少なくとも
米国債の利回りよりも高いはずです。
もしそれより低い金利でしか貸せないなら、銀行はヘッジファンドに貸さないで初めから米国債に投資した
ほうがいいからです。
円金利≒ゼロというイメージが強いですが、投機家が円を調達して投資しようとしても、結局アベイラビリティ
(調達のしやすさ)の面でもコスト(金利)の面でも、円はそれほど使い勝手がいいとは言えないのです。
623名無しさん@3周年:2007/08/06(月) 12:03:37 ID:oAvW7mUd
そうなると、ヘッジファンドは実際にはどんなことをやっているのだろうかという疑問が湧いてきます。典型的な
円キャリートレードとその目的この疑問を市場関係者にぶつけてみたところ、次のような答えが返ってきました。

「典型的な円キャリートレードとは、ドルを持っている投資家がそれでエマージング国の株に投資する。その上で、
先渡し(フォワード)取引でドル買い円売りをするというものだ」というのです。そうだとすると、円キャリートレードは
二つの別の(独立した)取引を組み合わせたものだと言えます。

一つは「ドル売り、株買い」であり、もう一つは「ドル買い、円売り」です。前者は現物(スポット)市場の取引で、
後者は先物市場の取引という違いはありますが、まとめると、ドルの売りと買いが相殺されて、「円売り、株買い」が残ります。
確かに円キャリートレードの形になっています。

しかしこの投資家は円を借りてエマージング国の株を買ったわけではありません。手持ちのドルで株を買ったのであって、
そこに円売りドル買いの先物取引を加えたに過ぎません。なぜこんなことをする必要があるのでしょうか。おそらく、
「小さなリスクで大きなリスクをヘッジする」意図があったのだと思われます。大きなリスクとはエマージング国の
株買いです。株価そのものがリスクだし、エマージング国の通貨もリスクです。一方、小さなリスクは先物での円売りです。

ご存知のように、将来のある時点のドル円レートは、現在のレートに比べて円高ドル安です。日米の金利差を反映している
からです。例として、現在のレートが 1 ドル=120 円、先物が 1 ドル=116 円だとしましょう。先物で円売りドル買いをした
投資家は、将来のある時点に 1 ドル=116 円でドルを買う約束をしたことになります。しかし時間が経ってその時点が来た
ときに、実際の円レートが相変わらず1 ドル=120 円のままだったらどうでしょうか。この投資家は、約束どおり 116 円でドルを
買った上で、その時のスポットレートである 120 円で売り抜けることができます。1 ドルあたり 4 円の儲けです。
日本の超低金利が続き、利上げもかなり間隔のあく極めて緩やかなものになっているために円安が続いています。