五十嵐レポート
三菱UFJ投信株式会社 発行2007年3月14日
ttp://www.toyota-fss.com/pdf/information/pdf/070320_mitsubishi.pdf ヘッジファンドは円を借りていない
広い意味で円キャリートレードと呼ばれる取引にはずいぶん種類があるようですが、一般に認識されている典型的
なものは、「ヘッジファンドが(銀行から)円を借りて何かの資産に投資する」というものだと思われます。
しかし私が知る限り、少なくとも日本の銀行がヘッジファンドに円で投資資金を貸しているという事実はありません。
それに、かりに融資することがあったとしても、リスクの多い取引をするヘッジファンドにお金を貸す以上は、
貸出金利には当然それに見合ったプレミアムが乗せられるに違いありません。
そもそも投機家が低い金利で円を借りることはできないと思います。ではヘッジファンドが米国債を担保に差し入れる
という方法はどうでしょうか。これならお金を貸すほうにも安心感があります。しかしこの場合でも、貸出金利は少なくとも
米国債の利回りよりも高いはずです。
もしそれより低い金利でしか貸せないなら、銀行はヘッジファンドに貸さないで初めから米国債に投資した
ほうがいいからです。
円金利≒ゼロというイメージが強いですが、投機家が円を調達して投資しようとしても、結局アベイラビリティ
(調達のしやすさ)の面でもコスト(金利)の面でも、円はそれほど使い勝手がいいとは言えないのです。