【日本の無期懲役についての説明】
「無期懲役刑=期限を決めない懲役刑」という解釈をよく見かけますが、厳密にはそうでは
ありません。→
http://lucius.exblog.jp/5881587/ 無期懲役は、一生続く刑罰です。
しかし、刑務所に一生いなければならないのでは厳しすぎて反省する意欲も薄れるので、
仮出獄制度(仮釈放)というものがあり、法律上、最短10年(20歳未満のときに無期刑
の言い渡しを受けた者(51条1項により緩和された者を除く)については少年法58条により
最短7年)を経過すれば仮釈放の可能性が出てきます。
ただし、無期懲役は、一生続く刑罰ですから、刑の終了(満了)自体はなく、仮釈放が
許されても、恩赦などがない限り死ぬまで「仮」釈放のままであり、終生保護観察に付
されます(※ただし例外として、20歳未満のとき無期刑の言い渡しを受けた者について
は少年法59条に特別の規定があり仮釈放後何事もなく10年を経過すれば刑は終了します)。
そのため、決められた決まりを守らなかったり、微罪でも起こしたりすれば、刑務所に戻
されることになります。※「仮釈放=刑の終了」ではありません。
★このような刑罰のことを外国では一般的に「終身刑」と呼びますが、終身刑には仮釈放
の可能性がある「相対的終身刑」と仮釈放の可能性がない「絶対的終身刑」の2つがあり、
日本人は、後者にあたる刑のみを「終身刑」と呼んでいます。なお、日本の無期懲役刑
はもちろん前者(=相対的終身刑)にあたります。
(仮出獄)
懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の
三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に出獄
を許すことができる。
この10年というのは、あくまで「仮釈放を許すことができる法律上の最短期間」にすぎず、
近時では20年以内で仮釈放が許されるのは非常に稀で、無期刑仮釈放者の受刑在所期間は、
平成16年が25年10月、平成17年が27年2月となっています。
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ttp://www.geocities.jp/lucius_aquarius_magister/parole1.html ※先の刑法改正で、有期刑の上限が20年から30年に引き上げられたことにより、無期刑仮
釈放者の平均在所期間は今後さらに長くなるという見方も強いです。