佐藤観樹元自治相に名義借り疑惑 元秘書「給与受けず」
民主党衆院議員で元自治相の佐藤観樹(かんじゅ)氏(62)=比例東海ブロック、当選11回=が00年から03年
にかけて公設第2秘書として採用していた女性(51)が、在職当時、秘書としての勤務実態がほとんどなく、給与も本
人に渡っていない「名義借り」だった疑いがあることが、朝日新聞の調べで分かった。複数の地元関係者らが取材に
対して認めた。捜査当局もこうした実態を把握、すでに事情聴取された元秘書は「給与は受け取っていない」などと、
名義借りを裏付ける趣旨の話をしている模様だ。
佐藤元自治相は、朝日新聞の取材に「秘書としての実態はあった」として、疑惑を否定している。
佐藤元自治相や事務所によると、元秘書は佐藤氏が10回目の当選を果たした00年6月から03年4月までの約
3年間、公設第2秘書を務めた。元秘書は在職当時、週3回程度、選挙区の愛知県一宮市内の事務所に出勤し、
支援者の相談や各種案内の発送作業などをしていた。地元での対外的な活動は、公設第1秘書の佐藤氏の妻(52)
が主に担当していたという。
しかし、後援会幹部ら複数の支援者は元秘書について、「事務所で顔を見たことがない」「辞めた時に初めて秘書
だったことを知った」などと話している。
元秘書は、愛知県尾西(びさい)市の前市議会議長の妻。前議長は、同市発注の公共事業をめぐる汚職事件で今
年1月、あっせん収賄容疑で県警に逮捕され、すでに起訴されている。
捜査の過程で名義借りの疑惑が浮上し、捜査当局が元秘書から任意で事情を聴いたところ、在職中の秘書給与
について、「受け取っていない」などと話した模様だ。
衆議院によると、国が秘書に支払う給与は、年齢や在職年数などによって決まる。元秘書には給与やボーナス、
手当が年間計600万円、在職中の約3年間では1800万円前後が国から支払われていたとみられる。
元秘書は03年4月に辞職したが、元自治相側は「肉親が重病で看病が必要になり、本人から申し出があった」な
どと説明している。
http://www.asahi.com/national/update/0301/033.html