>>255 今や「国際政治・グローバル化社会においては社会正義の絶対的な基準は有り得ない」
というのが妥当だとされている。
今の世界では基本的人権しか頼るものが無い。
人権以外の社会秩序・道徳というものはあまりにも主観的で閉社会的なものだ。
それはそういったものが国や社会や宗教によって違う点に端的に現れている。
これでは全地球人の主権を保証するという意味での地球政府というものは有り得ないだろう。
制度としてできたとしても今の国連以下の実行力しか持たないものに堕すか、
あるいは世界レベルでのフセインになるかだ。
ここで、
私の言っている基本的人権 も社会や宗教によっては公然と侵害されており、
そういった社会に属する人は人権を侵害されているという自覚が無いのだから、
そこでは人権の定義が違うのだろう、やはり人権も主観的なものに過ぎないではないか、
という批判があるかもしれないが、それはあたらない。
イスラム原理主義勢力が渦巻いているアフガンでさえ、東西冷戦の米ソ両国による
支援競争で豊かだった頃は、街にチャドルを被った女性はいなかった。
男性も髭を伸ばしている人は希であったし、原理主義など欠片も無かった。
これはイスラム教を信仰する事をやめたからではなく、単純に彼らもまたその一部の戒律を
人権侵害的であると冷静に判断したからだ。実際、喜捨などは積極的に行われていた。
そういった判断を下した人達が、その後イスラム原理主義に走ったのだから、
人権の定義が違うから人権侵害社会が存在するとは言えない。
彼らを人権侵害的な原理主義に走らせたのは、生活の不安定化と外部集団による
生命の危険でもたらされた、極度のアイデンティティー喪失だろう。
自らの危険に対し、集団の一員であることを強く自覚することで精神の安定を図る
一種の防衛本能によると考えるのが妥当ではないだろうか。これは時に攻撃性をはらむ。
(これは特定の例を挙げなくとも、子どもの喧嘩か会社での若手いじめなどを適当に考えれば
同意してもらえるだろう。)
そしてその不安定を直接的にもたらしたのは、ソ連による進攻とそれへの対抗措置として
アメリカが行ったビンラディン支援、その後のアメリカによる戦後放置だ。
そういった事態に至った原因は、米ソ両国が冷戦構造を自らに有利にしようとアフガンを
利用した事である。そしてソ連がアフガンから撤退した後、アメリカはそこまでの責任を無視し
放置する事で、経済的・精神的に不安定な社会を作り出し、テロリストの巣窟としたのだ。
つまりアメリカの人権無視的な利己的政策によって、9.11〜アフガン戦争は発生したのだ。
これはイラクにも言える事だ。
イラン・イラク戦争の時に、冷戦構造における自国の利益の為フセインを支援し、
その結果フセインによる独裁国家を形成させたのはアメリカである。
このような事をしなければ、イラク国民はフセイン独裁を許さなかったであろう。
アメリカの利己的政策でイラク国民の人権を侵害する体制はできたのだ。
こういった事を考えれば、イラクに人権国家を作るための戦争という主張は茶番だ。
もし、こういった過去を省みた結果、イラクのために行ったと言うのならば、すぐにでも
イラク人に主権を返すのが当たり前であるがそれは未だ行われていない。
また
>>259が指摘したように初めは自国の安全のためと言っていたが、その安全を脅かす
大量破壊兵器は出てきていない。おそらく無いだろう。
では何のために戦争をしたのか
こういった事を考えれば、イラクに人権国家を作るための戦争という主張は茶番だ。
もし、こういった過去を省みた結果、イラクのために行ったと言うのならば、すぐにでも
イラク人に主権を返すのが当たり前であるがそれは未だ行われていない。
また
>>259が指摘したように初めは自国の安全のためと言っていたが、その安全を脅かす
大量破壊兵器は出てきていない。おそらく無いだろう。
では何のために戦争をしたのか。
戦争中は石油利権だと言われた。確かにそれもあるだろう。だがそれだけだろうか。
ここでイラク復興の作業を行う企業の非常に多くがアメリカの会社である事を考えてみよう。
イラク復興は各国から大量の支援が来るだろうし、それを受注するのがアメリカの企業
という事になれば、米経済は潤う。現在アメリカはレーニン時代の弱肉強食社会で
手に入れた国家財政の余剰金を使い果たし、経済は低迷し出した。
ここでイラクを使って経済の建て直しを画策したとは考えられないだろうか。
そのシナリオはこうだ。
アフガンからの対テロ強化路線の世論の高まりを見て、またブッシュJrが大統領
という好機に、今こそイラクを叩くチャンスだと見た。
そしてアフガンとはそれほど関係の無いイラクを、国内でテロと混同させるような
発表をし、報道を煽り、まっすぐなアメリカ人を騙して攻撃に賛同させる。
攻撃後は石油利権と中東安定化による日本への貸し
各国支援を自国企業に分配させて国内に利益
落とした爆弾は日本に清算してもらって損失無し
結果として国内経済は好調になり、なし崩し的に反対派はいなくなり支持率上昇。
これが目的だったのでは無いだろうか。
こういった理由で開戦したと考えると、すぐに主権移譲しないことの説明もつく。
おそらくアメリカは、アフガンでの復興で少ないながら何らかの利益があったのだろう。
そして自国が先制攻撃を受けた事で、攻撃をする事で被害を受けた者は身の危険から
攻撃した者に敵対をあらわにするという基本を思い出した。
テロの撲滅と言うもっともな理由でイラクに先制攻撃を仕掛けたのは、フセインに
身の危険を感じさせ、一対一の対決に持ち込もうとしたのではないだろうか。
(これもテロ(恐怖)攻撃だと思うのだが)
いくら平和路線を展開する国でも、「アメリカを倒せ」等と言っている国は擁護できまい。
それにアフガンでも国際的に支持されたのだから、今回も何とかなるのでは、
という甘い読みもあったのだろう。
だが心配なのはイラクの今後だ。
アフガンとイラクはテロリストの暗躍と恐怖政権の順が逆だ。
イラクでは現在テロが加速度的に増えている。アフガンではテロが先だ。
ということは、アフガンがタリバンに支配されていた時のような社会不安が、
アメリカ進攻の後に起きている事になる。つまり現在イラクの復興は進んでおらず、
市民生活は悪化の一途をたどっているのではないだろうか。
このままではイラクは破滅だ。すぐにでもアメリカは市民の生存権を保証し、
主権をイラク人に移す努力を加速させなければならない。
と、イラクとアフガンを対比させて思ったんですが。