お金を刷ればよいというと、大抵の日本人はオウム返しにハイパー
インフレになると言う。このような迷信が日本経済復活の足かせに
なっている。どんな、良薬でも使いすぎると毒になる。インフレに
注意しながら慎重にお金を刷れば、必ず日本経済は復活することは
歴史が証明している。政府は制約のないお金を手に入れることにな
るから、際限なく発行を続けることになるだろうと言う人がいる。
これは政策の本流として積極的に日銀引受が新規発行債を対象に行
われた1932年から1947年までの悪夢が再現するのではないかという
説である。1932年高橋是清蔵相が日銀引受による通貨増発で昭和恐
慌から脱することに成功している。高橋蔵相は、物価上昇の兆候が
見え始めた1935年には、臨時利得税の創設・時局匡救費削減・国債
漸減方針及び軍事費削減を主張したが1936年2・26事件で軍により
射殺された。もしも高橋蔵相の主張通りになっていたら、日銀の国
債引受も不況脱出の特効薬として高く評価されていたに違いない。
しかし、不幸なことに当時は軍部が強く戦費をまかなうため国民の
生活が無視された時代であり、歯止めが効かなくなったために、結
果としてハイパーインフレを招き日本人の心の中に「トラウマ」と
して深い傷を残してしまった。このトラウマを取り除くための心理
療法が必要なようだ。
しかし現代は当時と世の中が全く異なっているのである。有害なま
での通貨発行を、世論の反対を押し切ってできるほど政府が強くな
い。軍は事実上存在しないし、自衛隊が政治的発言力を持つわけで
もないし、クーデターを起こし蔵相を射殺するとは考えられないし、
軍事費を果てしなく拡大して戦争へと走るとも思えない。更に、今
の日本で少々お金を刷っても簡単にはインフレにならない。どの分
野でも供給過剰になっているからである。供給過剰を緩和するため
に、お金を刷ることは役立つことは間違いない。
詳しくは
http://www.tek.jp/p/