668 :
名無しの報告:
さてもこんどは獅子独活(ししうど)の
月光いろの繖形花から
びろうどこがねが一聯隊
青ぞら高く舞ひ立ちます
(まあ大きなバッタカップ!)
(ねえあれつきみさうだねえ)
(はははは)
(学名は何ていふのよ)
(学名なんかうるさいだらう)
(だって普通のことばでは
属やなにかも知れないわ)
(エノテララマーキアナ何とかっていふんだ)
(ではラマークの発見だわね)
(発見にしちゃなりがすこうし大きいぞ)
燕麦の白い鈴の上を
へらさぎ二疋わたってきます
(どこかですももを灼いてるわ)
(あすこの松の林のなかで
木炭(すみ)かなんかを焼いてるよ)
(木炭窯ぢゃない瓦窯だよ)
(瓦窯(や)くとこ見てもいゝ?)
(いゝだらう)
林のなかは淡いけむりと光の棒
窯の奥には火がまっしろで
屋根では一羽
ひよがしきりに叫んでゐます
(まああたし
ラマーキアナの花粉でいっぱいだわ)
イリスの花はしづかに燃える