2015年2月6日ニュース「美白剤開発に標的となる新分子を発見」 | SciencePortal
http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2015/02/20150206_02.html http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/img/150206_img3_w500.jpg 図1. メラニン色素産生細胞のメラノサイトにおけるメラノソームの形成・成熟・輸送の仕組み
http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/img/150206_img4_w500.jpg 図2. Rab40C発現によるメラニン合成酵素Tyrp1の発現低下。マウス培養メラノサイトに緑色蛍光タンパク質を付加したRab40C(野生型及び各種
変異体)を発現させ、メラニン合成酵素Tyrp1の発現に対する影響を免疫染色法で示した。野生型Rab40CやQ73L変異体を発現する細胞では、
Varp分子の発現が低下するため、Tyrp1の発現が顕著に低下した(点線の細胞、矢印)。一方、G28N変異体やΔSOCS変異体では、Varpの発現
量に影響を与えないため、Tyrp1の発現低下は観察されなかった。スケールバー= 20μm。
美容の大敵、しみやそばかすの予防に手がかりとなる研究成果が出た。メラニン合成酵素の分解を促す新しい分子を、東北大学大学院生命科
学研究科の大学院生、谷津彩香(やつ あやか)さん、島田光(しまだ ひかる)さん、大林典彦(おおばやし のりひこ)助教、福田光則(ふくだ みつの
り)教授らがマウスの培養細胞実験で突き止めた。この新分子を標的にした美白剤の開発に道を開く発見として注目される。2月6日に英科学誌
Biology Openオンライン版に発表した。
有害な紫外線から体を守るメラニン色素は、細胞内の小胞メラノソームの中でメラニン合成酵素によって合成される。このメラニン合成酵素は、
細胞内でメラノソームへ輸送される。研究グループは、この輸送を制御するタンパク質としてVarp(バープ)を同定し、この発現異常でメラニン合
成酵素の分解(メラニン色素量減少)が促進されることを見いだしていた。しかし、Varpの発現調節に関わる細胞内の仕組みは分かっていなかっ
た。
研究グループは今回、マウスの細胞内でVarpに結合する新分子としてRab40Cを見つけた。Rab40Cはメラニン色素産生細胞のメラノサイトに内
在して、タンパク質分解酵素のプロテアソームでVarpを分解に導くことを明らかにした。Rab40Cをメラノサイトに過剰に発現させると、Varpの分解
が進んだ。逆にRab40Cの発現を低下させると、Varpの蓄積が観察された。メラニン合成酵素の輸送には適切な量のVarpが必要なため、いずれ
の場合もメラニン合成酵素が正しく輸送されず、結果的にメラノソームから消えてしまうことを確かめた。
福田光則教授は「メラニン合成酵素には直接作用せず、メラニン合成酵素の分解を促進する新分子を発見した。従来の『メラニン合成酵素の直
接的な酵素活性の阻害』という観点とは異なる美白剤の開発に、この新分子が応用されるよう期待している。しみやそばかすの予防にも効くだろ
う」と話している。
(いずれも提供:東北大学)
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