クロービス文化の起源、定説に疑問
Gloria Dickie, July 15, 2014
メキシコにある「世界の終り」と呼ばれる発掘現場で、アメリカ先住民の起源とされる
遺物が発見された。それぞれ4本の牙を持つゾウに似た絶滅種2体の骨と、その周囲を取り
囲むようにして見つかった1万3400年前の尖頭器(槍先)である。
メキシコの北西にある発掘現場エル・フィン・デル・ムンドで、ゴンフォセレの骨とともに
発見されたクロービス人の石英の槍先。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_images/14-04546-large2-clovis_81640_990x742_600x450.jpg メキシコ北西部、ソノラ砂漠にあるエル・フィン・デル・ムンド(スペイン語で
“世界の終り”)で発見されたこれらの骨は、アメリカ大陸において明確に定義されて
いる最古の文明に属するクロービス人が、ゴンフォセレ(Gomphothere)を食用として
いたことを示す初の考古学的証拠である。ゴンフォセレはゾウ目の古代動物で、現代の
ゾウと同程度の大きさがあった。
考古学者が注目しているのは、クロービス人が何を食べていたかだけではなく、その
残り物の年代である。アリゾナ大学の考古学者バンス・ホリデー(Vance Holliday)氏
によると、エル・フィン・デル・ムンドで見つかったクロービスの遺跡は、これまでで
最も古く、発掘場所としても最南端である。クロービス人といえばベーリング地峡が起源と
考えられてきたが、そこからはるか遠く離れた場所での発掘を受けて、研究者らはアメリカ
先住民の起源に新たな疑問を抱き始めている。
クロービス文化は長いこと、北アメリカの南西、氷河の南とベーリング地峡一帯が起源で
あると考えられてきた。しかし、テキサス州とエル・フィン・デル・ムンドでさらに古い
クロービス人の遺跡が発見されたことで、その見方に疑問が出てきた。両者の放射性炭素
年代はほぼ同じ1万3400年前と測定されている。
「ここにきて突然、最古のクロービス遺跡が北アメリカ南部の2カ所で発見された。
これは、クロービス文化の起源が北にあるのではなく、どこか別の場所にある可能性を
示唆している。そして、これまで考えられてきたよりも古い起源を持っているのでは
ないかと思われる」と、ホリデー氏はいう。同氏はナショナル ジオグラフィックから
助成金を受けている。
キャロルトンにあるウェスト・ジョージア大学の考古学者トーマス・ジェニングス
(Thomas Jennings)氏は、エル・フィン・デル・ムンドでの発見によって、クロービス
文化をめぐる今まで分かっていなかった謎に回答が与えられようとしていると話す。
中でも最も興味深いのは、クロービス人の技術が大陸全体に行き渡っていたということ
である。例えば、独特な槍の先は長くて幅も広く、両側が刃になっている。この槍先が、
クロービス人の移動に伴ってアメリカ大陸全体に広がっていったのか、それとも既に
住んでいた他の先住民族に技術だけが広まったのか、それは定かではない。
「これほど遠く南へ離れた場所で最古のクロービスの遺跡が見つかったということは、
クロービス文化の起源がおそらく北アメリカ南部のどこかにあるということだ。アメ
リカ大陸の定住の歴史において、それは様々な意味を持つ」とジェニングス氏は言う。
(つづきはソースを見て下さい)
ソース:ナショナルジオグラフィック ニュース(July 15, 2014)
クロービス文化の起源、定説に疑問
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20140715003 原論文:PNAS
Guadalupe Sanchez, et al. Human (Clovis)?gomphothere (Cuvieronius sp.)
association ?13,390 calibrated yBP in Sonora, Mexico.
http://www.pnas.org/content/early/2014/07/10/1404546111 プレスリリース:University of Arizona
Meet the gomphothere: Archaeologists discover bones of elephant ancestor
http://uanews.org/story/meet-the-gomphothere-ua-archaeologist-involved-in-discovery-of-bones-of-elephant-ancestor