誰もが自分のゲノム情報を利用できる時代、課題は大規模データ解析人材の育成へ
神近 博三=日経テクノロジーオンライン2014/07/07 18:34
東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター教授の宮野悟氏
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/EVENT/20140707/363669/0707m_bigdata.jpg 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター教授の宮野悟氏は2014年7月7日、「医療
ビッグデータ・サミット2014 〜ゲノム解析から予防医療、自動診断まで――ビッグデータが
もたらす新産業〜」(主催:日経デジタルヘルス)に登壇し、「医療ビッグデータ時代の
幕開け 〜誰もが自分の遺伝情報を利用できる時代が来た〜」と題して講演した。
生物のゲノム情報を読み取る装置はシークエンサー、読み取り作業はシークエンスと
呼ばれる。このシークエンサーが近年急速に進歩したおかげで、ヒトゲノムのシークエンス
コストは劇的に低下している。2014年現在、そのコストは1000米ドルにまで下がっており、
さらにCMOSワンチップのシリコンシークエンサー、DNAをたんぱく質に空けたナノポア
(ナノサイズの穴)に通して解読する「ナノポアシークエンサー」の実用化によって、
100米ドル前後にまで下がる見通しが立っている。東京大学医科学研究所でもクオンタム
バイオシステムズと共同で、臨床への応用が可能な1分子シークエンサーの開発に取り
組んでおり、2014年1月27日にはシリコンバレーでプロトタイプとデータを発表している。
このようにシークエンサーのコストが大幅に下がったことで、今度は「取り出したゲノム
情報を解析する人材の育成が緊急の課題となっている」(宮野氏)。例えば、米NIH(national
institutes of health)では、ゲノム情報のビッグデータ解析のために「Associate Director
for Data Science」を設置。Bioinformatics(生命情報学)の著名な研究者であるThe
University California, San DiegoのPhilip E. Borune氏がAssociate Directorに就任
して、“Tracking the Big Data Program”に取り組んでいるという。
さらに、ゲノム情報のビッグデータ解析には、スーパーコンピュータ、大規模ストレージ
などのリソースも必要となる。最新のシークエンサーは正常組織から900億文字、がん
組織から1200億文字、合計2100億文字のゲノム情報を6〜27時間ぐらいで取り出せる
(シークエンサー複数台をパラレルに使用するかどうかで異なる)。そこから「親から
受け継いだゲノム」「がんを発症する鍵遺伝子の変化」「環境因子による変化を受けた
ゲノム」などを解析し、最終的に「感染症へのかかりやすさ」「心臓病の発病リスク」
「様々な薬の有効性や副作用」といった臨床で役立つ情報を得るためには、大規模データの
解析とその結果を再利用可能な形で記録する知識データベースがポイントとなる。
宮野氏が勤務する東京大学医科学研究所ではインターネットから切り離した「パーソナル
ゲノム空間」に専用のスーパーコンピュータ領域を設置し、臨床系研究室からはストレージを
持たないシンクライアントを使ってVPN経由でアクセスする。こうしたセキュリティ対策を
施したうえで、生命倫理チームを加えた遺伝カウンセリングや遺伝子検査体制を整備して
いる。その基本方針は「患者とその家族がゲノム解析の現場を見たときに『気持ちよく
協力しよう』と思えること」(宮野氏)だという。
解析で利用するスーパーコンピュータは、2014年12月までは2万2704コアのCPU、5Pバイトの
ストレージ(うち3Pバイトは並列ファイルシステム「Lustre File System」で管理)、
演算性能225TFLOPSのマシンを利用。2015年からは12Pバイトの高速ディスクアレイ、50P
バイトのニアライン・アーカイブ、演算性能500TFLOPSの「Shirokane 3」が稼働する。
さらに2017年以降には、高速ディスアレイが30Pバイト、ニアライン・アーカイブが100P
バイト、演算性能1PFLOPSの「Shirokane 3&4」の導入を目指している。
(つづきはソースを見てください)
ソース:日経テクノロジーオンライン(2014/07/07)
誰もが自分のゲノム情報を利用できる時代、課題は大規模データ解析人材の育成へ
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/EVENT/20140707/363669/ 参考:ヒトゲノム解読から10年、黒船来航から160年〜日本は夢物語、米国では明日の問題〜
http://www.tr-networks.org/PDF/2013%2007%2003%20GDHD_miyano.pdf (PDF)
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http://anago.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1403379058/61