アラスカのパブロフ山噴火、飛行警戒も
Brian Clark Howard, June 5, 2014
アメリカ、アラスカ州にある多数の活火山のうちの1つが5月30日より噴火を開始。
大量の溶岩と火山灰が噴出しており、航空機に対する警報が発令された。
噴煙を上げるアラスカのパブロフ火山。2013年5月18日に国際宇宙ステーション(ISS)
から撮影。2014年5月30日、パブロフ山は再び噴火を開始した。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_images/pavlof-volcano-erupt-alaska-01_80428_990x742_600x450.jpg 噴火を続けているのは、アンカレッジの南西950キロ、アラスカ半島の人里離れた荒れ地に
あるパブロフ火山、標高約2500メートル。噴出した溶岩は約500メートルの高さに達した。
また2日には、火山灰が7000メートル以上の高さに達し、東側80キロにまで広がった。その
ため当局は、航空機に対する警戒レベルを4段階のうち最も深刻な“レッド”に引き上げた。
3日夜には噴火活動が弱まり、また晴天により視界もよくなったことから、レベルは1つ
下のオレンジ(監視)に引き下げられた。
ペンシルバニア州にあるディキンソン大学の火山学者で、アラスカ州で調査を行った
ことのあるベン・エドワーズ(Ben Edwards)氏は、パブロフ山上空付近では多くの民間
航空機がアジアとアメリカの間を往来していることから当局は警戒を強めている、と話す。
噴火による被害はこれまでのところ確認されていないものの、火山灰は視界を遮るだけで
なく、航空機の機器に影響を及ぼす可能性もある。
エドワーズ氏によると、現在のところ航空機は火山灰を迂回して飛行することができ、
運航に大きな混乱は出ていないという。「しかし、当局による状況の監視は続いている」。
噴火により高温の岩石が地面に降り注げば、大量の雪が解け、水分を含んだ噴出物が
山の斜面を流れ下ることになる。
このような高温の泥流はラハール(火山泥流)と呼ばれ、1980年に起きたセントヘレンズ山の
噴火では、沿岸に向かって流れ出た泥流が数キロの範囲にまで及んだ。もっとも、エドワーズ氏に
よると、パブロフ火山にはここまでの爆発力はないという。
◆噴火の歴史
エドワーズ氏によると、パブロフ山は過去数百年の間に20〜30回噴火を繰り返している
という。最近では、2013年6月26日に噴煙を伴う噴火が発生している。
パブロフ山の爆発力はセントヘレンズ山には及ばないものの、有名な活火山で、たびたび
噴火を繰り返しているハワイのキラウエア火山よりは高いということだ。パブロフ山の
溶岩の多くは玄武岩質安山岩である。これはアリューシャン列島の火山でよく見られる
ものであり、中規模な噴火の原因となっている。
パブロフ山は日本の富士山によく似た円錐形をしていることから、地質学者の間では
“富士山型”火山と呼ばれることもある。
パブロフ山は辺ぴな場所にあるため、地質学者による十分な調査が行われていない、
とエドワーズ氏は話す。「地上での調査は言うまでもなく、上空から観察するだけでも
大変な探検だ」。
今回の噴火の前にパブロフ山地下の地震活動の活発化を示す傾向は見られなかったものの、
衛星データから、山頂の温度が急速に上昇したことがわかったということだ。
ソース:ナショナルジオグラフィック ニュース(June 5, 2014)
アラスカのパブロフ山噴火、飛行警戒も
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20140605003