【2月12日 AFP】
国際宇宙ステーション(International Space Station、ISS)への物資輸送で
民間企業との協力関係を築いている米航空宇宙局(NASA)が、
今度は月の資源開発において民間の助けを求めている。
NASAは1月に発表した指針で、民間企業に対し、これまで培ってきた知見のほか、
同局の技術者や月探査ロボットへのアクセスを活用することを提案した。
しかし、この「カタリスト(CATALYST)」と呼ばれるプログラムは、
NASAのISSへの物資輸送契約と異なり、米政府からの助成金は得られない。
最近の月探査ミッションで、月には水やその他の「興味深い物質」が存在する証拠が明らかになったと、
NASAのジェイソン・クルーサン(Jason Crusan)氏は言う。
「だがこうした資源がどれぐらいあり、アクセス可能なのかを調べるためには、
私たちは月面に着陸して詳細に調べる必要がある。民間の月探査技術は、
こうした資源の活用の可能性を広げてくれる」と同氏は語った。
そしてNASAは2013年、ビゲロー・エアロスペース(Bigelow Aerospace)社と民間企業との
共同開発を促進するための契約を結んだ。
この契約では、月面基地開発計画での協力を主な目的としている。
■豊富なヘリウム3やレアメタル
米国の資産家ロバート・ビゲロー(Robert Bigelow)が創設した同企業は、
膨らませて利用できる宇宙モジュールの開発に成功している。
ビゲロー社のマイケル・ゴールド氏は、ISSへの物資輸送契約を例に出しながら、
民間企業とNASAとのパートナーシップは「低い軌道ではかなりうまくいっている」とし、
「月でもうまくいくはず。加えてこの財政緊縮のもと、民間の投資や技術力を活用するのは理にかなっている」とAFPにコメントした。
ゴールド氏によれば、民間セクターと協力することで、
政府がすべての資金を負担する宇宙ミッションより安価になるという。
数十億ドルほどの資金があれば、10年以内に月への有人探査ミッションが実現する可能性もあると同氏は言う。
同氏はまた、ヘリウム3の膨大な貯蔵量を引き合いに出しながら
「月には商業的な潜在性が大いにある」と語る。
ヘリウム3は地球では希少で、核融合のための理想的なクリーンエネルギー燃料の開発につながり得るとされる。
月にはさらに、電化製品に多く使われ、世界的に需要が高まっている貴重なレアメタルも豊富に眠っている。
「米国に限らず世界のさまざまな業種の多くの企業にとってビジネスチャンスが広がっている」
とゴールド氏は述べ、欧州や日本も月探査に積極的であることを説明した。
(c)AFP/Jean-Louis SANTINI
米ネバダ(Nevada)州ラスベガス(Las Vegas)で、膨らませて使う居住モジュール「BEAM」を前に
言葉を交わす米航空宇宙局(NASA)のローリー・ガーバー(Lori Garver)副長官(左)と
ビゲロー・エアロスペース(Bigelow Aerospace)の創業者ロバート・T・ビゲロー(Robert T. Bigelow)氏(2013年1月16日撮影、資料写真)
http://afpbb.ismcdn.jp/mwimgs/0/3/384x/img_03b3bf884f147893df021fb1d6684346118167.jpg ソース:NASA、月探査で民間企業と協力へ
http://www.afpbb.com/articles/-/3008289 関連:宇宙開発の世界的な協力体制作りへ、米国で国際会議
http://www.afpbb.com/articles/-/3006290