水がたまり「ゆっくり地震」誘発 広島大チームが解明
http://www.asahi.com/science/update/0903/TKY201209030115.html http://www.asahi.com/science/update/0903/images/TKY201209030117.jpg 「ゆっくり地震」発生の仕組み
プレートの境界がゆっくりずれて起き、巨大地震の発生につながる可能性があるとして注目されている特殊な地震
の仕組みを、広島大の片山郁夫准教授らのチームが突き止めた。水を通しにくい岩石の下に水がたまり、断層が
すべりやすくなって起きるらしい。2日付の英専門誌ネイチャージオサイエンス電子版で発表した。
南海トラフ沿いのプレート境界では、深さ30キロ付近で数時間から数カ月かけて断層がずれる「ゆっくり地震」が
発生する。巨大地震はそれよりも浅いところで起きる。
チームは、海のプレートから水がしみ出すことに注目。しみ出した水は上昇し、南海トラフの深さ30キロ付近にある
「はんれい岩」がふたになって、水がたまるのではないかと考えた。
チームははんれい岩と、プレートから水がしみ出す部分にある岩の水の通しやすさを高圧実験で比較。はんれい岩
は水を通しにくいことを確かめた。また、水がはんれい岩に遮られてたまる様子を計算機で再現。水がたまると断層が
滑りやすくなり、ゆっくり地震を起こすと推定した。
国は、ゆっくり地震が発生する場所でも巨大地震が発生する可能性があるとして、南海トラフ巨大地震の想定震源域
を陸に近い側に拡大した。
「ゆっくり地震」仕組み解明
http://www.yomiuri.co.jp/feature/earthquake/news/20120903-OYT8T00699.htm 片山准教授らは、プレート境界付近の浅部(地殻)と深部(マントル)を分ける「モホ面」と呼ばれる深さ約30キロ付近
で地震が起きていることに着目。2010年春からそれぞれの岩石の透水性を調べる室内実験をしていた。
その結果、深部にある蛇紋(じゃもん)岩は比較的、水を通しやすいが、浅部にある斑れい岩は水を通しにくい性質が
あることが判明。
地球内部では、岩石のすき間を水が移動しているが、深さ40〜50キロから上方に移動してきた水が、モホ面にある
斑れい岩にせき止められた結果、水たまりが生じていると結論づけた。
ゆっくり地震は通常の地震の準備段階で起きるとされており、その発生場所は、南海トラフ巨大地震の想定震源領域
の周辺に分布しているという。
片山准教授は、「プレート境界の水の動きを詳しく調べることで、巨大地震の発生予測にもつながるはず」と話している。
海洋機構、ゆっくり滑る地震解明−岩板境界で発生
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx1520120508eaal.html 海洋研究開発機構の杉岡裕子研究員らの研究チームは、1944年に起きた東南海地震の震源域で広帯域海底
地震計を使って観測したところ、ふつうの地震よりもゆっくり滑る超低周波地震の発生メカニズムを解明した。
海底面の変化で起きる津波地震も同様の過程で発生するとみられ、今後解明が進むものと期待される。研究成果
は英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス電子版に掲載された。
今回の観測により、超低周波地震は従来予想とは異なり、海溝付近の海洋プレート(岩板)が大陸プレートの下に
沈み込む境界で発生することが分かった。
研究チームは08年8月、断層破壊速度が遅い地震も観測できる広帯域海底地震計を和歌山県田辺市の沖合3カ所
に設置。09年3月22日から10日間にわたり、南海トラフ軸近くで超低周波地震をとらえた。