【代謝】肝臓内グリコーゲン量を減らすと脂肪は効率的に燃焼することを発見/筑波大

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2エタ沈φ ★
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そこで、機構の解明に向けた詳細な研究として、迷走神経肝枝に外科的切離術(HVx)を行ったところ、
絶食時の脂肪分解が減少し、脂肪組織が相対的に大きくなることを確認したほか、上行性の神経線維のみを
破壊するカプサイシン処理(Cap)を施しても、同様の結果が得られることを確認しており、
これにより絶食時の脂肪分解シグナルが迷走神経肝枝を経由していることが示されたとする。

また、この絶食時における迷走神経シグナルの起点を分子生物学的手法により探索していったところ、
肝臓内グリコーゲン量の減少が引き金となっていることを発見。具体的には、グリコーゲン合成酵素(Gys2)を
アデノウイルスベクターを用いて肝臓に過剰発現させ、肝臓のグリコーゲン量を増やしておくと、
絶食時の脂肪分解が抑制されること、ならびにRNA干渉(RNAi)によりグリコーゲン合成酵素の発現を
低下させグリコーゲン量を減らしておくと、脂肪分解が促進されることを確認したという。

さらに、グリコーゲン分解を司るグリコーゲンホスホリラーゼの発現量をRNAiにより低下させ、
グリコーゲン分解を抑制したところ、グリコーゲン量が増加すると同時に、絶食シグナルが抑制され、
結果として脂肪分解が抑制されることも判明。このことから、絶食時の迷走神経シグナルの起点に
なっているのは、グリコーゲンの分解によって生成される代謝物ではなく、グリコーゲン量そのものの
減少であることが示されたと研究グループでは説明しており、これにより、脂肪をより効率的に
燃焼させるためには、肝臓内グリコーゲン量を減らすことが有効である、という結果を得たとしている。

なお、研究グループでは今後、肝臓内グリコーゲン量を検知する仕組みについてのさらなる解明を
目指した研究を進めるとしており、それにより食事療法によらない、肥満対策の新たな治療法の確立が
期待されるとコメントしている。

終わり