【生物】ミカンキジラミと共生する細菌 細胞分裂抑える毒作る がん新薬開発期待/豊橋技術科学大
1 :
白夜φ ★:
ミカンキジラミと共生する細菌 細胞分裂抑える毒作る がん新薬開発期待
愛知・豊橋技術科学大学の中鉢淳准教授(42)を中心とする研究グループが、かんきつ類の害虫、ミカンキジラミ(キジラミ科)が
体内にある器官に細胞の分裂・増殖を阻害する毒を作る細菌を共生させ、天敵から身を守っているという研究結果を米専門誌の電子版に掲載した。
今回の研究でプロフテラと名付けたこの細菌は、ミカンキジラミだけにすみつき、雌の体内で卵ができる時に「感染」。
自活能力はなく、毒を作ることだけに特化して少なくとも数千万年前からミカンキジラミの体内で世代を重ねてきたと考えられる。
こうした防衛機能を目的とした共生はこれまで不安定な関係と考えられ、宿主生物と完全に一体化した共生関係が確認されたのは世界で初めて。
研究成果は11日付の米国生物学専門誌「カレントバイオロジー」電子版に掲載された。
ミカンキジラミはアブラムシやウンカの仲間の昆虫で、かんきつ類の樹皮に針状の口を刺し樹液を吸う。
この際、別の病原菌を媒介し、果実が売り物にならなくなるだけでなく数年以内に木を枯らしてしまうことから、世界的な農業害虫とされている。
アジアの熱帯・亜熱帯地域に分布し、中東や南北アメリカに侵入、日本でも南西諸島から北上し、九州本土へ拡大しつつあり、対策が急がれている。
中鉢准教授らのグループは、ミカンキジラミの腹部にあるバクテリオームという器官にすんでいるプロフテラとカルソネラの2種の細菌に着目。
全遺伝情報を解読したところ、いずれもその総量が極めて少なく、単一機能に特化した共生菌とわかった。
プロフテラが作る化学物質はディアフォリンと名付けられ、細胞の分裂、増殖を抑える作用を持つことが判明。
今後の研究で、がんを抑える新薬の開発が期待されるという。
またカルソネラは2種類の必須アミノ酸を作ることもわかった。
これらの共生関係を壊す薬剤や、ディアフォリンが効かない天敵昆虫を開発すれば、ミカンキジラミを防除できると期待され、
同グループが研究を進めている。(榊原宗一)
(2013年7月12日 読売新聞)
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▽記事引用元 yomiDr. 2013年7月12日配信記事
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=81308 ▽関連
豊橋技術科学大学
世界初、昆虫と融合した「用心棒バクテリア」を発見
? キジラミ細胞内でしか生きられない共生細菌が、毒を合成して宿主を防衛 ?
http://www.tut.ac.jp/docs/PR20130712.pdf
2 :
忍法帖【Lv=40,xxxPT】(2+0:8) :2013/07/14(日) 23:47:29.97 ID:ypL/7PFT
.
増殖する細胞に対する細胞毒を抗がん剤に使うわけだが、
まあ、幹細胞の消耗も激しいわけだ。
抗がん剤治療後の人が、急に老いたようにみえるのは当然といえば当然だ。
寿命を削っている、という表現が正しいと思う。
小児がんもきれいに治ったようにみえて、どれだけ寿命を削って生き残った
のか、逆にわかると怖いと思う。
余談になるが...
woodlouseは直訳するとキジラミだがダンゴムシの類
4 :
名無しのひみつ:2013/07/15(月) 16:19:49.93 ID:WIfhpvD3
ミカンキジラミが絶滅すれば、沖縄からシークヮーサーの木を持ってきてもお咎めがなくなるのか。
5 :
名無しのひみつ:2013/07/15(月) 16:42:14.52 ID:GlsoFgcE
生物学的にこの発見は面白いが、がんの治療薬には絶対に結び付かない。
6 :
名無しのひみつ:
2013/8/13 12:59
毒作る細菌と共生し防衛 植物害虫、抗がん剤に応用も
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1204A_T10C13A8CR0000/ 豊橋技術科学大(愛知県豊橋市)などの研究チームが、かんきつ類の害虫「ミカンキジラミ」(体長約3ミリ)を調べた
結果、毒を作る細菌を体内に共生させることで、天敵から身を守っていることを突き止め、13日までに米専門誌に発表した。
同大の中鉢淳准教授(共生生物学)によると、寄生相手を外敵から守る機能での安定した共生関係が確認された
のは生物で初めてといい、この毒は抗がん剤などの新薬開発につながる可能性もあるという。
研究チームが、ミカンキジラミ腹部の器官にいる2種類の細菌を遺伝子解析などで詳しく調べると、このうち
「プロフテラ」と名付けた細菌が、毒性のある化合物を作っていると判明。ヒトとラットのがん細胞に与える実験で、
がん細胞を死滅させることが分かった。
もう1種の細菌「カルソネラ」はミカンキジラミに栄養を供給。いずれの細菌も虫に取り込まれて細胞内小器官
のように働いており、共生関係を築いた祖先を調べると、数千万年から数億年の間、卵を通じて子に受け継いで
きたと考えられる。
中鉢准教授は「虫の天敵は常に変化する。毒を作る細菌を体内に持つことは負担も大きく、外敵から守る機能
での共生は安定しないことが多い。プロフテラのように一体化した例は世界で初めての発見だ」としている。
ミカンキジラミは樹液を吸う際、ほかの病原体も運び、ミカンなどの生育が悪くなって果実に緑色の部分が多く
残るほか、樹木は数年で枯れる。もともとアジアの亜熱帯、熱帯地域に生息していたが、中東や米大陸へ広がり
日本の南西諸島や九州の一部にも上陸した。
今回の研究成果を踏まえ、細菌との共生関係を壊してミカンキジラミを駆除する薬剤の開発も進めるという。〔共同〕