<身体形状、聴覚が認識に関与−NTTが実証 >
NTTコミュニケーション科学基礎研究所は9日、人が自分の身体の形状を認識する際に聴覚が関わっていることを
世界で初めて明らかにしたと発表した。これまで身体形状は視覚や触覚を通じて認識されると考えられていた。
成果は音によるリハビリ支援や、テレビ会議システム、仮想環境あるいは映画などに役立つとしている。
米科学誌カレントバイオロジーに10日掲載される。
聴覚と身体図式(脳が認識している身体の形状の無意識的なもの)に関する研究は、これまでほとんど行われていない。
同研究所では、感覚の中で唯一、守備範囲が360度と、広い空間処理能力を持つ聴覚に着目し、
ユニークな実験を通して聴覚が身体図式に影響を与えることを実証した。
実験は被験者が床の上の特定の箇所をたたくと、たたいた音に同期してスピーカーが鳴る仕掛けを用意。
被験者にはゴーグルを着用させ自分の腕やスピーカーが見えない状態で、
15センチメートル間隔の異なる6カ所を右腕で順番にたたかせた。
その際、スピーカーの位置を等距離(15センチメートル間隔)、距離2倍(30センチメートル間隔)などと変更し、
各条件で左右の腕の等間隔の2点に触覚刺激を行い、2点間の距離はどちらが長いか、
つまりどちらの腕を長いと感じるかを調べた。
実験の結果、距離2倍の条件で「右腕が長い」と答える割合が有意に上昇。
同研究所は、このデータを「実際にたたいた場所より遠い位置から音が聞こえる状況に慣れたため、
脳が右腕が長いと錯覚した」と判断した。
____________
▽記事引用元 朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/digital/nikkanko/NKK201207100016.html ▽関連リンク
*NTTコミュニケーション科学基礎研究所
(報道発表資料)2012年7月9日
脳科学研究における聴覚と身体の関わりを世界で初めて解明
〜身体動作に伴う音を操作することで脳が腕の長さを誤って認識する錯覚を発見〜
http://www.ntt.co.jp/news2012/1207/120709a.html *Current Biology - Cell
Current Biology, Volume 22, Issue 13, R516-R517, 10 July 2012
doi:10.1016/j.cub.2012.04.028
Action sounds recalibrate perceived tactile distance
http://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(12)00448-4