【ナノ/物理】ケルビン プローブ原子間力顕微鏡で単一分子内の電荷分布のイメージングに世界最初に成功−IBMチューリッヒ研究所

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1pureφ ★
IBMチューリッヒ研究所 単一分子内の電荷分布のイメージングに世界最初に成功
〜Scientists image the charge distribution within a single molecule for the first time〜

 IBMチューリッヒ研究所は,2012年2月27日,同所の研究チームがケルビン プローブ
原子間力顕微鏡(Kelvin Probe Force Microscope, KPFM)を用いて単一の分子内の
電荷分布を測定することに世界で初めて成功し,その技術の詳細を伝える論文が前日
付けの学術誌Nature Nanotechnologyにonline掲載されている(注)とのニュース発表を
行い,physorg.com等のナノテク関連ウェブサイトが紹介している.このブレークスルー技術で,
単一分子のスイッチング,原子や分子間の結合の形成などについての根源的な科学
洞察が可能になり,機能分子内の電荷分布を可視化できるようになったことは,太陽光の
光電変換・エネルギー蓄積,分子スケールの計算デバイスといった分野への応用に多大な
期待を持たせるものであるという.

 IBMの研究チームが,単一の分子内の電荷分布の測定に用いたケルビン プローブ原子
間力顕微鏡KPFMは走査トンネル顕微鏡(Scanning tunneling microscope, STM)の
子孫の一つ,原子間力顕微鏡(Atomic force microscope, AFM)の変種である.走査
プローブのティップ(tip)が金属などの伝導体に近づくとtipと測定試料の間の電気ポテンシャルの
差によって電場が生じ,この電場による力が原子との距離により変化することを利用したものが
AFMであるが,KPFMではこの電場を補償する(compensate)ようにプローブに印加する電圧に
よってこの電気ポテンシャルの差を測ることができる.したがって,ケルビン プローブは分子の
電荷を直接測るのではなく,電荷によって生じる電場を測ることになるという.

 研究チームは,測定用の試料分子について検討の結果,IBMが単一分子スイッチの実験で
以前に用いたことのある交差形対称性を持つ有機分子ナフタロシアニン(Naphthalocyanin)が,
この研究には理想的な分子であることが分かったという.この全長2nmの分子では2個の水素
原子が分子の中心で向き合っている構造で,電場を印加すると二つの異なった配置の間を
スイッチするといういわゆる互変異性があり,二つの水素原子の位置のスイッチにより分子内の
電荷分布に変化が起こるという(P. Liljeroth, J. Repp, And G. Meyer, "Current-Induced
Hydrogen Tautomerization and Conductance Switching of Naphthalocyanine Molecules,"
Science 317, pp. 1203-1206 (2007), DOI: 10.1126/science.1144366).

 研究チームは,KPFMを使って二つの異なる電荷分布状態のイメージングで,分子サイズ
以下の分解能を達成するための条件を検討した結果,熱的・機械的な高度の安定性,
および機器の原子レベルの精度を一連の測定の続く数日の間保持することが必要であることが
分かった.そのため,測定は超高真空中かつ低温で実行した.加えて,ティップの先端に一酸化
炭素CO分子を1個だけ吸着させることで分解能を大幅に向上できたという.この結果,Cu(111)
基板上にNaCl絶縁層を挟んで乗せたナフタロシアニン分子中の電荷移動の像を捉えられた.
この実験の結論は,第一原理密度関数理論計算と測定結果を照合して導きだしたものである
としている.

 STMとその子孫のAFMは,原子・分子スケールの研究を牽引する二頭の馬車馬である.
STMは1981年にIBMチューリッヒ研究所のGerd BinnigとHeinrich Rohrerが発明し,初めて,
表面上の個々の原子像を得ることが出来るようになったと,IBM研究所はプローブ顕微鏡の
R&D 30年の実績と歴史を誇る.

ナノテクジャパン 2012.3.12
https://nanonet.nims.go.jp/modules/news/article.php?a_id=1283

IBM Research nanophysics breakthrough captures first-ever image of charge distribution in a single molecule
IBM Research 27 February 2012
http://www.zurich.ibm.com/news/12/charge.html

Imaging the charge distribution within a single molecule
Fabian Mohn, Leo Gross, Nikolaj Moll, and Gerhard Meyer
Nature Nanoetchnology (2012) doi: 10.1038/nnano.2012.20. Published online 26 February 2012.
http://www.nature.com/nnano/journal/vaop/ncurrent/full/nnano.2012.20.html
http://www.nature.com/nnano/journal/vaop/ncurrent/images/nnano.2012.20-f1.jpg
http://www.nature.com/nnano/journal/vaop/ncurrent/images/nnano.2012.20-f2.jpg
>>2辺りに続く
2pureφ ★:2012/03/25(日) 02:47:20.21 ID:???
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3名無しのひみつ:2012/03/25(日) 02:52:42.78 ID:T61b4DzA
>ティップの先端に一酸化炭素CO分子を1個だけ吸着させることで分解能を大幅に向上できたという

すげー・・・
4名無しのひみつ:2012/03/25(日) 03:30:56.39 ID:jL76/n2G
またケースレーさんボロ儲けか
5名無しのひみつ:2012/03/25(日) 12:49:13.02 ID:P+5EWjzu
ここまで見せられたら納得するしかないな
6名無しのひみつ:2012/03/25(日) 13:51:56.73 ID:T2mUMMAA
ホモが丸見えになるってことでいいの?
7名無しのひみつ:2012/03/25(日) 14:05:20.25 ID:u1uiPcMJ
ナノプローブ注入
抵抗は無意味だ
8名無しのひみつ:2012/03/25(日) 16:04:04.09 ID:EbtkS0UZ
やべーぞこれ
ノーベル賞確実だろ
9名無しのひみつ:2012/03/26(月) 00:00:00.67 ID:ag5uIYzE
教科書では知ってたけど
本当にそうなんだという感動
10名無しのひみつ:2012/03/26(月) 08:52:10.08 ID:EVw/wjWp
IBMは最近活動が盛んだね
いいことでもあったのかな
11名無しのひみつ
へー