【物性】電子スピンの幾何学的位相を電気的に検出−東北大

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1依頼28−76@pureφ ★
東北大、電子スピンの幾何学的位相を電気的に検出

東北大学(東北大)大学院工学研究科 新田淳作 教授、同研究科 好田誠 准教授、
同研究科博士課程3年 国橋要司 日本学術振興会特別研究員、および同研究科
修士課程1年 長澤郁弥 氏らの研究グループは、電子スピン(電子の磁気的性質)の
干渉効果を利用することで、スピンの幾何学的位相を明瞭に観測することに成功した
ことを発表した。

スピンはその向きに情報を担わせることが可能であり、スピンを情報処理に利用することは
次世代の超高速・超低消費電力デバイスの開発に重要であると考えられている。この
ような研究分野はスピントロニクスと呼ばれ、固体中でのスピンの制御が最重要課題と
されている。これまでのところ、磁場を用いたスピンの制御手法が確立されているが、高速
かつ局所的にスピンを制御するには電場による制御方法の確立が不可欠となっている。

同研究グループはこれまで、電場によりスピンの回転制御が可能であることを実証してきた。
一方、擾乱に対して安定な性質をもつスピン幾何学的位相への効果は実験的に明らかに
されていなかった。今回、同研究グループはスピンの幾何学的位相を定量的に評価する
ことで、幾何学的位相がスピン制御に際し大きな役割を果たしていることを実証した。

同研究成果は、ノイズ耐性の高いスピンの制御法につながり得ると考えられ、超低消費電
力スピンデバイスや、量子コンピュータの情報単位である量子ビットへの応用が期待される。

なお、同研究成果は、米国物理学会誌「Physical Review Letters」2012年2月21日
発行の電子版に掲載され、同誌のハイライト論文として取り上げられた(オンラインジャーナル
「Physics」に独レーゲンスブルク大学 Klaus Richter教授による同研究成果の解説記事)。

固体中でのスピンの制御については、これまでのところ、物質中での相対論的効果である
スピン軌道相互作用を介し、電場によりスピンを制御する方法が有望であると考えられて
いる。スピン軌道相互作用により、電場は磁場に変換され、スピンはこの有効な磁場に
よって回転する(図1(a))。

同研究グループでは、半導体中のスピン軌道相互作用を用いることにより、電場によって
スピンの回転が制御できることを実証してきた。一方、スピンがたどる軌跡の幾何学的特徴
のみに依存して生じる位相(スピンの幾何学的位相:図1(b))の存在が理論的に示されており、
その実験的な検証が期待されていた。

http://news.mynavi.jp/news/2012/02/29/012/images/001l.jpg
図1 (a)スピンはスピン軌道相互作用の作る有効磁場のまわりを回転する。この回転に伴う
動的位相は従来観測されていた。(b)有効磁場の描く軌跡に特徴づけられる位相がスピン
幾何学的位相である。幾何学的性質のみに依存することから、時間に対し揺らぐノイズに
耐性がある。

幾何学的位相自体は様々な系であらわれる普遍的概念であり、これまでに中性子や光
ファイバを用いてその存在が実証されている。しかし、固体中の電子スピンについての幾何学
的位相はその直接観測が困難であるとされてきた。

同研究では、同研究グループがこれまで検証を重ねてきた電子スピンの干渉デバイス(表面
に電極を取り付けた、髪の毛の太さの100分の1ほどの半径を持つ半導体リング配列構造:
図2)を用いることで、スピンの幾何学的位相の観測に成功した。

http://news.mynavi.jp/news/2012/02/29/012/images/002l.jpg
図2 作製したInGaAsリング配列構造の電子顕微鏡写真。スピン軌道相互作用の強さを
変調する必要があるため、後の工程でリング配列全体を電極で覆っている

村田晋一郎/マイナビニュース 2012/02/29
http://news.mynavi.jp/news/2012/02/29/012/index.html
電子スピンの幾何学的位相を電気的に検出 スピン位相制御技術の確立へ前進
東北大学工学研究科ニュース 2012年2月23日
http://www.eng.tohoku.ac.jp/news/?news=20120223163823
>>2辺りに続く
2pureφ ★:2012/03/18(日) 08:08:42.05 ID:???
同研究グループは、強いスピン軌道相互作用を有する半導体(InGaAs)を用いて、リング
配列構造を様々なリング径について作製した。リングを配列状にすることで、スピンの干渉
効果の観測に適したシグナルのみが生き残る。さらに、スピン軌道相互作用を介してスピンの
干渉効果をより詳しく調べるために、リング配列をゲート電極で覆った。

それぞれのリング径の試料で観測されたスピン干渉効果を調べたところ、電子スピンの幾何
学的位相の定量評価が可能であることが明らかとなり、その値は理論式から求められる
結果とよく一致した(図3)。

リング径を変えることで変化した幾何学的位相の値は最大で1.5ラジアンほどであり、これは
スピンの回転に伴う動的位相と比べ、決して無視できない大きな値であることが分かった。

http://news.mynavi.jp/news/2012/02/29/012/images/003l.jpg
図3 スピン幾何学的位相のリング半径依存性。幾何学的位相はスピン軌道相互作用の
影響も受けるため、様々なスピン軌道相互作用の強さにおいて半径依存性を求めた。
点線は理論式から求めた値を示す

電子スピンの幾何学的位相の存在が実証されたことで、従来考慮されてきたスピンの回転
運動に伴う動的位相だけでなく、幾何学的位相も併せて考える必要のあることが明らかと
なった。同研究成果は電子スピンの制御技術確立に向けて重要な知見を与えるものであり、
かつ、新たなスピンの制御法につながる可能性を秘めている。特に、時間に依存するノイズに
対し耐性を持つという幾何学的位相の特徴を生かせば、より信頼性の高いスピンの操作が
実現できると期待される。(本文終わり)

Experimental Demonstration of Spin Geometric Phase: Radius Dependence of Time-Reversal Aharonov-Casher Oscillations
Fumiya Nagasawa, Jun Takagi, Yoji Kunihashi, Makoto Kohda, and Junsaku Nitta
Phys. Rev. Lett. 108, 086801 (2012) – Published February 21, 2012
http://prl.aps.org/abstract/PRL/v108/i8/e086801

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3名無しのひみつ:2012/03/18(日) 08:13:00.79 ID:FoNszFh3
超電磁ヨーヨー
超電磁竜巻

超電磁スピン
4名前をあたえないでください:2012/03/18(日) 08:13:10.93 ID:uxUCVYGq
ノーベル賞候補だろうな

おめでとう
5名無しのひみつ:2012/03/18(日) 08:15:17.90 ID:wQ4FLR8i
なるほどな
6名無しのひみつ:2012/03/18(日) 08:24:09.21 ID:6bhk4SAE
あっ わかりやすい
7名無しのひみつ:2012/03/18(日) 08:26:50.35 ID:kjjYZ1Md
修士課程1年 長澤郁弥 氏
がんがれ
8名無しのひみつ:2012/03/18(日) 08:28:27.28 ID:cU4oIMHS
スピンって回転のことだろう。どうして、電子が回転してるってわかるのかな。
教えてエロイ人。
9名無しのひみつ:2012/03/18(日) 08:32:26.66 ID:5G+PJhQ4
>>8
ドップラー効果だな
向かって右と左で異なる
10名無しのひみつ:2012/03/18(日) 08:34:10.94 ID:cU4oIMHS
>>9
おお、そうか。で、何がドップラー効果を起こすのかな。電磁波、光?
11名無しのひみつ:2012/03/18(日) 08:42:36.73 ID:5G+PJhQ4
光も電磁波なんだが
12名無しのひみつ:2012/03/18(日) 08:46:11.87 ID:cU4oIMHS
>>11
硬いこというな。
電子のスピンというアイデアがなぜ出てきたのか、どういう観測結果から
妥当だと判断できるのか、ま、いまさらだが、本でも読むか。
13名無しのひみつ:2012/03/18(日) 08:48:09.16 ID:5G+PJhQ4
>>12
電子だと粒として考えても半径が小さすぎて直接観測するのは難しいから
反応のよい半導体で囲ってその半導体を観測したって書いてあるだろ
14名無しのひみつ:2012/03/18(日) 09:11:18.51 ID:ZAE55Gnx
ここまで超電磁スピンなし。
15名無しのひみつ:2012/03/18(日) 09:17:56.81 ID:YZ2rK5t9
16 忍法帖【Lv=2,xxxP】 :2012/03/18(日) 10:02:34.02 ID:qEAiYfXK
お前ら、朝からこんな堅苦しい話題でよくほのぼの出来るもんだなw
17名無しのひみつ:2012/03/18(日) 10:36:57.31 ID:6pIktqvv
これ更に研究進んだらジャミングや遮断不可能な通信が可能になるの?
18名無しのひみつ:2012/03/18(日) 11:00:47.37 ID:PUJm/sjo
ホッケが回る
19名無しのひみつ:2012/03/18(日) 12:30:07.09 ID:nCkc2+kd
昔からあるスピントロニクスの話題だろ。
一向に実用化しないんだが
20名無しのひみつ:2012/03/18(日) 13:23:55.74 ID:MfqGhMW0
読んでもわからない。3行でたのむ。
21名無しのひみつ:2012/03/18(日) 14:11:09.95 ID:mWNtrFxt


22名無しのひみつ:2012/03/18(日) 18:30:12.68 ID:X6NhGWDx
スピンの向きを電場をかけた状態で現れる
安定な幾何学的位相として観測しょうとしてて
それができたよってこと
23名無しのひみつ:2012/03/18(日) 18:59:55.35 ID:UF+Liou7
>>19
いやとっくに実用化されてますが
もう随分前からHDDに応用されてる巨大磁気抵抗とか、
トンネル磁気抵抗ってスピントロニクスそのものですよ
24名無しのひみつ:2012/03/19(月) 01:32:28.56 ID:lz21KTzI
何がスピンなのか意味が分からない
もしかすると超光速スピンによって次元を捩れさせていることが宇宙の源なのかもしれない
25名無しのひみつ:2012/03/19(月) 02:18:17.31 ID:tYs3o65X
スピンは4次元時空の相対論による効果で出てくるもので、
3次元空間と1次元の時間だけの非相対論の枠からでは出てこない。
無理やり角運動量のようなものとして入門用には説明するけどね。
26名無しのひみつ:2012/03/19(月) 02:35:36.91 ID:r6BtYs9u
ベリーフェイズ
27名無しのひみつ:2012/03/19(月) 03:16:05.87 ID:IVofvQeE
>>1
素直にすげぇと思う
28名無しのひみつ:2012/03/19(月) 04:21:55.31 ID:EHvqevaI
2年後韓国で
「世界初電子スピンの位相を電気的に検出」
と報道されるに1ウォン
29名無しのひみつ:2012/03/19(月) 08:24:47.46 ID:zOjtfBqH
>スピンは4次元時空の相対論による効果で出てくる
スピンといえば素粒子の事なのだろうけど、アインシュタイン相対論が
前提なんて、なんか変な気がする
30名無しのひみつ:2012/03/19(月) 12:56:58.88 ID:db3gx0Hh
相対論を考慮したら”スピンを持つしかない”

”理由はわからないが観測したらスピン自由度が存在する”でいいのなら
別に相対論を前提にしなくてもいい
31名無しのひみつ:2012/03/19(月) 19:00:22.88 ID:mLyTHA6z
また東北大か!
32 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 :2012/03/23(金) 06:01:56.99 ID:NB4RLLJQ
PRLいいなー
33名無しのひみつ
>>12
発端はシュテルン・ゲルラッハの実験じゃないの?