50年以上、約1400世代にわたり暗闇で育てたショウジョウバエは、暗闇の環境下での繁殖力が高まっていることを
京都大理学研究科の布施直之研究員(遺伝学)らが突き止めた。生物が環境に適応していくメカニズム解明につながる。
14日付の米国の科学誌プロスワン電子版に掲載された。
京都大は1954年から、光を遮断した容器でショウジョウバエを飼育し続けている。ハエは約2週間で世代交代するため、
人間に当てはめると旧石器時代の約2万8000年前から暗闇で生きてきた計算になる。「暗黒バエ」は普通のハエと
外見は変わらないが、光に敏感になったことなどがこれまでの研究で分かっている。
布施研究員らは、照明を使い、「24時間とも昼」「12時間ごとに昼夜」「24時間とも夜」の3通りの条件で、暗黒バエと
野生のハエそれぞれ約100匹ずつの繁殖率を調査した。野生バエは1匹のメスが3日間に産む卵の数はどの条件でも
約40個で差はなかった。一方、暗黒バエは「24時間昼」の条件下で38.6個なのに対し、「24時間夜」は42.6個と多かった。
布施研究員は「暗黒バエは、暗所での適応力が高まっていると言える。一部の遺伝子の変異も確認できており、
今後、繁殖力などとの関係を調べたい」と話している。
ソース
http://mainichi.jp/select/science/news/20120315k0000e040165000c.html