【物理】高分子の溶融体は圧力の違いで2つの顔を持つ 「SPring-8」の高圧構造物性ビームライン「BL10XU」使い慶応大などが発見
高分子の溶融体は圧力の違いで2つの顔を持つ - 慶応大などが発見
慶應義塾大学(慶大)、東京大学、京都大学、高輝度光科学研究センター(JASRI)の4者は2月
28日、高分子「isotactic poly(4-methyl-1-pentene)」(P4MP1)の融けた状態に圧力を加えて、
1nm程度の大きさの構造(原子の配置)を劇的に変化させることに成功したと共同で発表した。
成果は、慶應大理工学部の千葉文野助教、東大大学院理学系研究科の船守展正准教授、
京大大学院工学研究科の竹中幹人准教授、JASRIの大石泰生主幹研究員、ラザフォード・
アップルトン研究所、ラフバラー大学らによる国際共同研究グループによるもので、詳細な研究
内容は米科学誌「Physical Review E」のオンライン速報版に米国時間2月27日に掲載された。
物質に圧力を加え、ミクロにその構造を見ると、原子の並び方が大きく変化することがある。身近な
ものでは、鉛筆の芯として利用される黒鉛と宝石のダイヤモンドが挙げられるだろう。どちらも同じ
炭素からできているが、原子の並び方の異なる結晶だ。
なお、黒鉛は地球内部の高温高圧条件でダイヤモンドに相転移(構造変化)するという特性を持つ。
こうしたある結晶から別の結晶への相転移は、古くから知られていたが、近年も、相転移に関する
新たな発見が行われてきた。
例えば1985年には、原子が規則的に並んだ結晶ではなく、不規則に並んだアモルファスにおいても
相転移が存在することが、アモルファス氷で確認。2000年には、さらに液体においても相転移が存在
することが、液体リンについて示された。
現在までに、低分子のアモルファスや液体については多数の研究が行われ、構造変化において圧力が
主要な役割を果たすと考えられるようになっている。このような背景のもとに、今回の研究では、画像1の
比較的単純な高分子であるP4MP1の溶融体で実験が扱われた。
高分子材料は、ペットボトルからボーイング787の機体に至るまで、日常生活に欠かせない材料の1つだ。
温度を上げて融かした高分子の溶融体は、これまでは「1種類の液体」と考えられてきた。しかし、
P4MP1の溶融体は圧力の制御によって、パッキング(空間充填)の仕方、つまり構造が劇的に変化する
ことが判明したのである。つまり、高分子の溶融体の構造には、圧力によって構造の異なる「2種類の
液体」が存在することを意味するものだ。
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2012/120228_fig/fig1.png 画像1。高分子poly(4-methyl-1-pentene)(P4MP1)
今回の研究では、理化学研究所が所有し、JASRIが運営する大型放射光施設「SPring-8」の高圧
構造物性ビームライン「BL10XU」において、加熱して融かした高分子サンプルP4MP1に圧力を加え、X線
回折測定を実施した。
温度を280℃に保った状態で圧力を2700気圧まで上昇させていくと、回折パターンは画像2のように変化。
画像2の第1ピーク(FSDP,First Sharp Diffraction Peak)は、高分子の鎖間の相関(画像3)に起因する
ことが知られており、ピーク位置は1nm程度の長さに対応する。
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2012/120228_fig/fig2.png 画像2。高分子P4MP1の溶融体のX線回折パターンの圧力変化。結晶の構造解析と同様に、液体の
構造解析にもX線回折を用いる。結晶の場合はスパイク状のピークが観測されるが、液体やアモルファス
などの場合は、このように緩やかなカーブ状の回折パターンが特徴だ。ピークの位置や高さを解析すると、
液体中の原子の配列についての情報を得ることができる
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2012/120228_fig/fig3.png 画像3。高分子P4MP1の溶融体の構造の概念図。黒い太線は主鎖を表し、赤い線は側鎖を表す。
主鎖と側鎖については、画像1を参照。左側の図は低圧域での疎な構造の取り方を、右側の図は高圧
域での密な構造の取り方を模式的に表している
そして、画像4・5に示すように、このピークは圧力によって劇的かつ可逆に変化することが判明した。つまり、
加圧に伴い、第1ピークの高さは低くなってピーク位置は高波数(画像2では右)に移動し、減圧に伴い、
元の高さを回復してピーク位置も低波数に戻るというわけだ。
デイビー日高/マイナビニュース 2012/03/01
http://news.mynavi.jp/news/2012/03/01/016/ >>2辺りに続く
2 :
pureφ ★:2012/03/06(火) 14:18:21.05 ID:???
3 :
名無しのひみつ:2012/03/06(火) 15:49:40.90 ID:3prVYe/w
分らんけどとりあえずすげー
光学技術に使えたり防弾素材に使えたりするのかな
こういう素材の実験を宇宙とか
低圧力でやったら面白い発見が凄くありそう
4 :
名無しのひみつ:2012/03/06(火) 16:25:30.16 ID:JolSB02Z
このスレどうすんだよ
高分子を専攻している大学院生を集めたところで大して盛り上がらんぞ
ましてや素人の名無しどもにどんな会話ができるって?
5 :
名無しのひみつ:2012/03/06(火) 17:15:14.20 ID:YqcVhFI0
>>4 俺は読んで面白かった
それだけでもこのスレには価値があったのだ…
6 :
名無しのひみつ:2012/03/06(火) 17:23:20.90 ID:9mT0xYOf
ペットボトルを熱で柔らかくしたとき、
曲げようとして力をかけると、突然白濁して硬くなったりするよね
ああいうのも関係あるのかな
7 :
名無しのひみつ:2012/03/06(火) 17:49:36.75 ID:JbL/Xucv
>>4-5 無機系の俺にとっては、
圧力で結晶構造が変化して、そのせいで物性(融点など)が変化するのは、
フツーに有りそうな話だと感じたが、
有機系だとセンセーショナルなん?
8 :
名無しのひみつ:2012/03/06(火) 21:49:51.76 ID:EHiIw28C
>シンジオタクチック
うわあ学部で高分子にいたときから15年ぶりに聞いたわ
9 :
名無しのひみつ:2012/03/06(火) 23:35:01.85 ID:z5AliHuY
珍しいな慶應の名前をここで見るって
10 :
名無しのひみつ:2012/03/07(水) 12:40:14.66 ID:KFU+9EBF
1にも低分子の例が書かれているし予想の範囲だよね。
11 :
名無しのひみつ:2012/03/07(水) 13:05:16.26 ID:YiZvYVNC
>>7 液晶高分子でならよく聞いた話だけど
ただの高分子では聞いたことないな
センセーショナルでは無い
12 :
名無しのひみつ:2012/03/07(水) 13:27:54.29 ID:cJk5bSgi
信二オタクチック いや何でもない
13 :
名無しのひみつ:2012/03/07(水) 15:17:25.79 ID:5Q+L2qPu
低圧では貞淑に高圧では娼婦な高分子
14 :
名無しのひみつ:2012/03/07(水) 17:06:28.43 ID:GI8E9k+c
<;丶`Д´> ・・・ドコをどうパクればいいのか解らないニダ
15 :
名無しのひみつ:2012/03/13(火) 23:49:21.52 ID:INbv8h67
TPXって樹脂でしょ、これ
普通に成形加工して使う上で特に活かせそうな現象とは思えないけどな
その構造の違いとやらが、フィルムなりボトルなりに加工したあとの製品物性に
劇的な変化をもたらしてて、なおかつそれがプラスに働く用途があればいいけど
そもそもこの樹脂自体ポリオレフィンとしてはわりと変な材料だから
『比較的単純な高分子』と言われてもちょっと違和感があるな
16 :
名無しのひみつ:2012/03/13(火) 23:53:23.98 ID:INbv8h67
結晶部分の方が非晶部分より密度低いとか、
結晶性樹脂だけど透明度高いとか
17 :
名無しのひみつ:
TPX を振動板につかったスピーカーとかあるけれど、
音の質を上げるのに研究結果を使えたりしないかねえ?