新型インフルエンザウイルス検出に期待の新技術が登場
−独自開発したRT-SmartAmp 法を適用し、迅速かつ高感度の検出が可能に−
◇ポイント◇
発症から6〜24時間以内で新型インフルエンザウイルスを判定可能
タミフル耐性型や新規変異ウイルス検出にも応用可能
新たなパンデミックの拡大防止に貢献
独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、独自開発の遺伝子迅速検出法
「RT-SmartAmp 法※1」を適用して、従来のインフルエンザウイルス簡易検査キットに比べ
約100倍という高感度で、かつ40分以内と短時間でウイルスを検出する方法を開発し、
臨床研究でその有効性を実証しました。これは理研オミックス基盤研究領域(OSC、林崎
良英領域長)LSA要素技術開発グループLSA要素技術開発ユニットの石川智久上級
研究員らと複数の医療・研究機関、地域診療所※2の協力による成果です。
2009 年、新型のインフルエンザ2009 pandemic A/H1N1(2009 pdm A/H1N1)ウイルス
感染が国内で急速な広がりをみせました。特に妊婦、乳幼児および糖尿病やぜんそくなどの
基礎疾患がある高齢の患者においては、重篤化する恐れがあるため早期の診断が求められ
ました。LSA要素技術開発ユニットは、こうしたニーズに応えるため特定のウイルスが検出できる
RT-SmartAmp 法を開発しました。鼻腔や気管の分泌液から標的ウイルスのゲノムRNAを
1段階でDNAに変換して増幅するようにプライマー※3を設計して、検出時間を40分以内に
短縮することに成功しました。さらに、一般的にPCR※4を用いたウイルス検出法とは異なり、
ウイルスRNAを抽出するステップをなくすことで操作を簡便にできました。実際の医療現場で
性能を検証するために、千葉県や東京都にある3医療・研究機関と11地域診療所の協力を
得て、2009 pdm A/H1N1ウイルスを検出する臨床研究を行いました。その結果、従来の
検査キットでは、発症後24時間を経ないと検出が難しかったのですが、6〜24時間以内でも
感度よく検出できることを確認しました。これにより2009 pdm A/H1N1ウイルスの早期発見に
有効な検出法となる可能性を示しました。
またRT-SmartAmp法は検出対象とする遺伝子を増幅するためのプライマーの設計を変える
ことで、タミフル※5耐性型のウイルスや新型高病原性H5N1亜型ウイルス※6の検出にも応用
することが可能です。今後も懸念される新型パンデミックインフルエンザウイルスの蔓延防止に
役立つ高感度で迅速な診断方法として貢献すると期待できます。
本研究の一部は、科学技術振興調整費「重要政策課題への機動的対応の推進」プログラム
“新型インフルエンザ対策に資する緊急研究”として行い、本成果は、米国のオンライン科学
雑誌『PLoS ONE』(1月25日付け:日本時間1月26日)に掲載されます。
(以下略)
独立行政法人 理化学研究所 平成24年1月26日
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2012/120126/detail.html http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2012/120126/image/01.jpg 図1 RT-SmartAmp法による2009 pdm A/H1N1ウイルスの検出結果
インフルウイルス、検出感度100倍に 理研が新技術
日本経済新聞 2012/1/26 10:35
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E0E4E2E2888DE0E4E2E3E0E2E3E09180E2E2E2E2; One-step detection of the 2009 pandemic influenza A(H1N1) virus by the RT-SmartAmp assay and its clinical validation
Yuki Kawai, Yasumasa Kimura, Alexander Lezhava, Hajime Kanamori, Kengo Usui, Takeshi Hanami,
Takahiro Soma, Jean-Etienne Morlighem, Satomi Saga, Yuri Ishizu, Shintaro Aoki, Ryuta Endo,
Atsuko Oguchi-Katayama, Yasushi Kogo, Yasumasa Mitani Takefumi Ishidao, Chiharu Kawakami,
Hideshi Kurata, Yumiko Furuya, Takayuki Saito, Norio Okazaki, Masatsugu Chikahira, Eiji Hayashi,
Sei-ichi Tsuruoka, Tokumichi Toguchi, Yoshitomo Saito, Toshiaki Ban, Shinyu Izumi, Hideko Uryu,
Koichiro Kudo, Yuko Sakai-Tagawa, Yoshihiro Kawaoka, Aizan Hirai, Yoshihide Hayashizaki, and Toshihisa Ishikawa
PLoS ONE, 2012, doi:10.1371/journal.pone.0030236
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0030236 >>1 One-step detection of the 2009 pandemic influenza A(H1N1) virus by the RT-SmartAmp assay and its clinical validation
Yuki Kawai, Yasumasa Kimura, Alexander Lezhava, Hajime Kanamori, Kengo Usui, Takeshi Hanami,
Takahiro Soma, Jean-Etienne Morlighem, Satomi Saga, Yuri Ishizu, Shintaro Aoki, Ryuta Endo,
Atsuko Oguchi-Katayama, Yasushi Kogo, Yasumasa Mitani Takefumi Ishidao, Chiharu Kawakami,
Hideshi Kurata, Yumiko Furuya, Takayuki Saito, Norio Okazaki, Masatsugu Chikahira, Eiji Hayashi,
Sei-ichi Tsuruoka, Tokumichi Toguchi, Yoshitomo Saito, Toshiaki Ban, Shinyu Izumi, Hideko Uryu,
Koichiro Kudo, Yuko Sakai-Tagawa, Yoshihiro Kawaoka, Aizan Hirai, Yoshihide Hayashizaki, and Toshihisa Ishikawa
PLoS ONE, 2012, doi:10.1371/journal.pone.0030236
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0030236 (別紙1)「感染症研究国際ネットワーク推進プログラム(J-GRID)」に関する
インフルエンザ研究コンソーシアム研究課題公募選定委員会委員
審査委員(◎:主査、○:主査代理)
○押谷 仁 東北大学大学院医学系研究科 教授
神谷 齊 国立病院機構三重病院 名誉院長
◎河岡 義裕 東京大学医科学研究所 教授
喜田 宏 北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター長
永井 美之 プログラム・ディレクター(独立行政法人理化学研究所
新興・再興感染症研究ネットワーク推進センター長)
鈴木 宏 プログラム・オフィサー(新潟青陵大学看護福祉心理学部 教授)
お問い合わせ先
文部科学省研究振興局研究振興戦略官付
http://www.mext.go.jp/b_menu/boshu/detail/attach/1299839.htm 自作自演のやらせじゃん