【物理】量子メモリ読み書きのための「可視光から赤外光への広帯域波長変換」を確立 長距離量子通信・大規模量子計算に道―阪大と東大

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1pureφ ★
広帯域量子光インターフェースー長距離量子通信・大規模量子計算に道ー
教授・井元 信之、准教授・山本 俊、特任助教・生田 力三

 2011年11月Nature Communicationsに掲載された「Wide-band quantum interface for
visible-to-telecommunication wavelength conversion」(DOInumber:10.1038/ncomms1544)
の研究を紹介します。近年量子コンピューターや量子暗号の研究が注目されています。これは
量子物理と情報理論が結婚して生まれた突然変異というべき分野ですが、井元研では光と
物質が絡む量子情報処理の研究を理論・実験両面から行っています。

 通常の情報と異なり量子情報は「それを作った人でなければコピーできない」とか「マルチタスクを
時分割せず重ね合わせて同時進行させることが出来る」とか「エンタングルメント(量子もつれ)という
特殊な相関状態がある」という特徴があります。この量子情報を運ぶことと保持することが応用に
おいて欠かせません。運ぶことは光で、保持することは物質で行いますが、物質から光への量子
情報のread、あるいはその逆のwriteを高速かつ確実に行うことは未だ基礎研究段階にあります。
特に光通信では波長1.5ミクロン近辺の赤外光が使われるのに対し、read/writeにはその半分
ほどの波長の可視光が使われます。この波長のミスマッチを解決する研究が世界的に鋭意行われ
ており、先行研究としては長波長帯から短波長帯への高速変換、および特定の短波長から特定の
長波長への低速変換の実験がありました。しかし最後の砦である「短波長帯から長波長帯への
自由な変換」において実際に量子情報の維持を確認した実験はなかったのです。

 本研究では疑似位相整合ニオブ酸リチウムという特殊な人工的結晶を用いて、光の差周波発生
という現象を利用し、その実証実験を初めて行ったものです。これにより「量子read & writeのための
波長変換ラインナップ」が完成したと言えます。

[研究室の研究紹介]上記以外にも量子雑音の除去、多体量子もつれの発生・操作、クラスター
ステートを用いた量子計算、量子暗号理論、量子力学の基礎を深める研究等を行っています。

井元研究室のホームページ http://www.qi.mp.es.osaka-u.ac.jp/index-j.html

大阪大学 大学院基礎工学研究科 基礎工学部 最新研究情報 2011年11月01日
http://www.es.osaka-u.ac.jp/research/531.html
Wide-band quantum interface for visible-to-telecommunication wavelength conversion
Rikizo Ikuta, Yoshiaki Kusaka, Tsuyoshi Kitano, Hiroshi Kato, Takashi Yamamoto, Masato Koashi, Nobuyuki Imoto
Nat. Commun. 2 : 537 doi:10.1038/ncomms1544 (2011)
http://www.nature.com/ncomms/journal/v2/n11/full/ncomms1544.html

阪大と東大、量子メモリ読み書きのための最後の光波長変換技術を確立

大阪大学(阪大)と東京大学(東大)は、量子情報通信において不可欠な光の波長
変換方式として最後の課題として残っていた「可視光(短波長)から赤外光(長波長)
への広帯域波長変換」に成功し、実際に量子情報を壊さずに波長変換されている
ことを実験的に実証したことを発表した。これにより必要な方式が出そろい、光と量子
メモリ間の量子情報やりとりに道が開けたこととなる。同成果は、阪大大学院基礎工
学研究科の井元信之教授および東大大学院工学系研究科の小芦雅斗教授らの
グループによるもので、Nature Publishing Groupが発行している学術誌「Nature
Communications」に掲載された。

インターネットなどを利用した現在の情報処理ネットワークの多くでは、HDDやメモリを
使って0か1かのビット情報を保持し、読み書きした情報をリンクするために光通信を利
用している。同様に、量子コンピュータ/量子通信/量子暗号などいわゆる量子情報
処理においても、量子ビットを保存できる量子メモリ間を光でリンクして量子情報をやり
とりすることが重要となるが、量子メモリにアクセスして情報を読み書きできる光は可視
域付近(波長にしておよそ400〜900nm)であるのに対し、光ファイバ通信においては
1.3μm近辺か1.5μm近辺(通信波長)しか通常使われず、他の波長では効率が低
下してしまっている。この波長の不一致を整合させるために、量子情報を保持したまま
光の波長変換を行なう研究が世界的に進められてきた。

マイナビニュース 2011/11/18
http://news.mynavi.jp/news/2011/11/18/015/index.html
>>2辺りに続く
2pureφ ★:2011/11/20(日) 03:30:25.16 ID:???
http://news.mynavi.jp/news/2011/11/18/015/images/011.jpg
光子の波長変換の概念図。量子情報を壊すことなく、可視域の光子は通信波長域に、
通信波長域の光子は可視域に変換される

こうした光波長変換器には、波長変換前後で量子情報を壊さないこと、様々な種類の
量子メモリに対応できるために広い波長領域で動作すること、の2点が重要となっており、
これまでの研究において、通信波長から可視域への量子的広帯域波長変換、可視域
から通信波長への量子的狭帯域波長変換、可視域から通信波長への非量子広帯域
波長変換が実現されてきたが、「可視域から通信波長への量子的広帯域波長変換」
が最後の難関として立ちはだかっていた。

今回の研究では、周期分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN)という特殊な人工結晶を用いて、
光の差周波発生という現象を利用し、「可視域から通信波長への量子的広帯域波長
変換」を実験的に実証した。

http://news.mynavi.jp/photo/news/2011/11/18/015/images/012l.jpg
今回の研究の波長変換模式図。量子情報を持つ可視域の光子と強いレーザー光を
人工結晶であるPPLNに入射すると、差周波発生によって、もとの光子が持っていた量子
情報を受け継いだ通信波長域の光子が発生する。その後、レーザー光を適切に除去
することで変換光のみが得られる

実験では、95%という高い忠実度を持つ可視域量子もつれ光子対を準備し、その一方の
光子の波長を通信波長に変換した。こうして得られた変換光子ともう一方の光子について
忠実度を評価したところ75%の値が得られ、波長変換後も依然として高い量子もつれ状態
を保持していることが判明した。

http://news.mynavi.jp/photo/news/2011/11/18/015/images/013l.jpg
実験で得られた、波長変換前後において光子が持つ量子情報を可視化した図。左が変換
前(可視光)の量子情報で、右が変換後(通信波長)の量子情報を表す。四隅の成分が
いずれも高いとその状態が量子もつれ状態であることが示唆される。光子の波長を変換した
後も、高い量子もつれ状態を維持していることが確認された

この結果は、今回の研究で作った波長変換器が、光子の持つ量子情報を壊さずに波長変
換できることを意味しているという。

光を用いた多くの量子情報処理系では、非常に弱い光である光子1つひとつが量子情報を
持っている。一方、波長変換のために強いレーザー光を結晶に入射すると、可視域から通信
波長域への波長変換とは別に、様々な波長変換が同時に起きてしまい、光子の量子状態
を乱す雑音となる。このような雑音をできるだけ抑制し、光子信号対雑音比をいかに大きく
できるかが鍵となるが、今回は波長変換素子として高結合効率かつ高効率変換が可能な
PPLN結晶を用い、低雑音化のために注意深くレーザー光の波長選択や光学系の設計を
行うことが成果に結びついたとするほか、これまで10年余り蓄積してきた量子もつれ光子対
発生技術と光量子情報処理の実験技術および理論の成熟も今回の成果を達成するため
に必須であったという。

なお、今回の成果により、量子情報を読み書きするための波長変換ラインナップが完成したと
いえることから、これにより遠くから運ばれてきた光子の持つ量子情報を量子メモリに書き込む
ことに加え、量子メモリから読み出した量子情報を遠方まで運ぶことが可能になるなど、量子
メモリと光通信技術のフレキシブルな双方向接続が可能になったといえる。今後、研究グルー
プでは、量子メモリと量子通信技術を組み合わせた様々な量子情報プロトコル(量子中継
など)の実証実験が活発になることが期待されることから、今回の技術が量子情報処理ネット
ワーク実現に向けた要素技術の1つになるものと指摘している。

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3名無しのひみつ:2011/11/20(日) 03:42:14.92 ID:3HXEEgiE
そういえばQuantumが合併で消えてしまいましたね
4名無しのひみつ:2011/11/20(日) 03:44:58.82 ID:xwtz1Wxz
ちんぽなめろ
5名無しのひみつ:2011/11/20(日) 05:56:42.00 ID:7P3eFvBJ
東大阪大すげーっ
6名無しのひみつ:2011/11/20(日) 07:51:00.51 ID:SjkNF3HO
光の重ね合わせとか二桁ぐらいが限界なのに、それが無数にできる原理があるから
量子メモリができるとか表現しなおすって詐欺だろ。
7名無しのひみつ:2011/11/21(月) 02:48:46.58 ID:8Pe1XoUO
>>5
ひがしおおさかだいがく?かとオモタw
8名無しのひみつ:2011/11/21(月) 05:42:48.33 ID:5qk4sPam
>>7
おまおれw
9名無しのひみつ:2011/11/21(月) 07:18:42.76 ID:M6hTK5dp
これこそノーベル賞だな
10名無しのひみつ:2011/11/21(月) 09:52:26.06 ID:4w1rFe9v
ホログラムで計算するとか記録するとか
色々提案されてたけど全部こけてるな

実験室では色素レーザーでもTiサファイヤレーザーでもKDPでもBBOでも使えるけど
そんな何千万円もするものを一般家庭では無理だから
11名無しのひみつ:2011/11/21(月) 14:06:27.06 ID:XsCQuREa
>>10
なんでお前んちで使う電卓を偉い学者先生が研究してるなんて思ってんの?
12名無しのひみつ:2011/11/21(月) 16:18:40.56 ID:pipL7lWz
>>11
日本語でおk
13名無しのひみつ:2011/11/22(火) 05:14:56.74 ID:ni8yfGUZ
この記者の説明って恥ずかしいよな。
14名無しのひみつ
単に多ビット記録とか全然量子メモリーじゃないから。
そんなの従来からできていて高電圧を使うアナログ記録では珍しくないから。
そんで多値メモリができたときにこれは量子メモリーだとか言い出すなよ。
フラッシュメモリだって多値記録しているわけだからな。