RSウイルス感染症 大流行か
乳幼児に肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症の患者が、都市部を中心に引き続き増え、
国立感染症研究所は、これまでで最も大きな流行になるおそれがあるとして、特に赤ちゃんのいる
家庭では手洗いなどの予防策を徹底するよう呼びかけています。
RSウイルス感染症は、毎年、冬場にかけて主に乳幼児で流行する発熱やせきなどの症状が出る
病気で、初めて感染した場合は、肺炎や脳症を引き起こして重症化することがあります。国立感染
症研究所によりますと、今月9日までの1週間に全国およそ3000の小児科の医療機関から報告
された患者の数は、28の道府県で前の週を上回って1969人となり、去年の同じ時期の2倍近く
になっています。平成15年に調査を始めてから、この時期としては最も多く、研究所は今後、さらに
患者が増え、これまでで最も大きな流行になるおそれがあるとしています。
都道府県別にみると、大阪府が179人で最も多く、東京都が143人、愛知県が110人など、
都市部を中心に全国的に広がりつつあります。
国立感染症研究所の安井良則主任研究官は「ことしは特に1歳以下の患者が多く、全体の70
%以上を占めている。特に赤ちゃんのいる家庭では、親や兄弟が感染していることに気付かずにう
つしてしまうケースが多いと考えられるので、手洗いのほか、せきやくしゃみの飛まつを浴びせないなど
の予防策を徹底してほしい」と呼びかけています。
RSウイルス感染症は、主にくしゃみなどによる飛まつ感染や接触感染でうつり、発熱や鼻水、せき
など、かぜのような症状が出ます。年齢を問わず何度でも感染を繰り返し、大人は鼻かぜ程度の
軽い症状で済みますが、乳幼児が初めて感染したときは、肺炎や脳症を引き起こして重症化する
場合もあります。中でも、生後間もない赤ちゃんは、肺など呼吸器の発達が不十分なことから、無
呼吸状態になって突然死につながるおそれがあり、特に注意が必要だとされています。生後6か月
程度までは、はしかや風疹などの感染症に対しては、胎盤や母乳を通じて、母親から受け取った
免疫の仕組みが働きますが、RSウイルスには無効で、生後すぐから感染するということです。この
ため、1歳未満の乳児の場合、RSウイルス感染症による10万人当たりの死亡率は、インフルエ
ンザの2倍以上に上るとされています。
NHK 10月18日 18時48分 動画あり
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111018/k10013340641000.html 「RSウイルス感染症」 愛知県衛生研究所 2007年1月24日
RSウイルスの特徴
RS「アール・エス」 ウイルス(respiratory syncytial virus: RSV)は、乳児急性気道感染症(細気管支炎、
肺炎など)の主な原因ウイルスです。名前の由来は、呼吸器(respiratory tract)感染症患者から分離
され、感染細胞が多核巨細胞つまり合胞体(syncytium)を形成するという特徴からです。RS ウイルス
遺伝子は1本のマイナス(-)鎖RNAで、RSウイルスはMononegavirales門パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)
のPneumovirus属に分類されます。パラミクソウイルス科に属するウイルスには、古くからパラインフルエンザ
ウイルス、麻しん(はしか)ウイルス、ムンプス(おたふくかぜ)ウイルスが知られているほか、最近やはり呼吸器
感染症をおこすメタニューモウイルスが発見されました。RSウイルスにはAとBの血清型があり、さらに各血清
型に多くの遺伝子型が知られています。エンベロープをもち環境中では不安定で、石けん、消毒薬などに
出会うと容易に感染力を失います。
乳児のRSウイルス感染症は要注意
RSウイルスは接触や飛沫を介して気道に感染し、2-5日の潜伏期の後、発熱、鼻水、咳などで発症、
通常1-2週間で軽快します。しかし2歳以下の乳幼児ではしばしば上気道炎から下気道炎に進展して
細気管支炎、肺炎を発症し、特に6ヶ月以下の乳児では入院加療を必要とすることが珍しくありません。
免疫不全児、低出生体重児や呼吸器・循環器に基礎疾患をもつ乳幼児は重症化しやすく、特に注意が必要です。
http://www.pref.aichi.jp/eiseiken/67f/rs.html 関連ニュース
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http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/wildplus/1267968847/