血液中の赤血球や白血球などが減少する難病「再生不良性貧血」で、有効な治療法を簡便に見分ける
新たな診断法を、金大附属病院血液内科グループが26日までに確立し、特許を出願した。特定の血球の
増加に着目した血液検査で、「免疫抑制療法」が効くかどうかを判断する。患者の負担が少ない検査として、
的確な治療方針の決定に役立てる。
再生不良性貧血は、血液のもとになる「造血幹細胞」が白血球や赤血球などに成長する過程で異常が起こり、
血球が作れなくなる病気。難病情報センターによると、2006年の国内患者数は1万1159人に上る。
免疫抑制療法の効果は再生不良性貧血の原因によって異なり、体内のリンパ球が自分の造血幹細胞を攻撃して
いる場合は有効だが、造血幹細胞の遺伝子に異常がある場合は効かない。感染症を起こしやすくなるなど
副作用もあるが、従来は原因を鑑別するよい方法がなく、取りあえず免疫抑制療法で治療していたのが実情だった。
研究グループは、再生不良性貧血患者のうち、特定のタンパク質がない「PNH型血球」が増加していれば
免疫抑制療法が効く可能性が高いことに着目。微少なPNH型血球をとらえる高精度の検査法を開発し、
簡便な方法として標準化した。この検査でPNH型血球が増加していれば、約9割の高い確率で免疫抑制療法が
有効であることを確かめた。
研究責任者の中尾眞二教授によると、高齢者に多く、急性白血病に移行する可能性がある「骨髄異形成症候群」
の患者でも、免疫抑制療法の有効性を確かめられるという。中尾教授は「どの施設でも実施できるよう改良した。
多くの患者が適切な治療を受けられるよう後押ししたい」と話した。
●免疫抑制療法 造血幹細胞を攻撃してしまっているリンパ球の働きを弱めたり、破壊したりする薬を投与する
治療法。再生不良性貧血の治療にはこのほか、造血幹細胞移植(骨髄移植)などがある。
▽記事引用元 北國新聞(6月27日03時00分)
http://www.hokkoku.co.jp/subpage/H20110627102.htm