【論文】理系ならほぼみんな持っているかもしれない「エルデシュ数」とは?

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1JD@かしゆかさんφ ★
「ブラック・スワン」の熱演で先日アカデミー主演女優賞を受賞したナタリー・ポートマンは、
ハーバード大学で心理学を専攻した際の共著論文によりエルデシュ数「5」を持っているそうです。

論文を書いたことがある人なら調べてみると持っているかもしれない数「エルデシュ数」とは、
一体何をあらわしているのでしょうか?

詳細は以下から。

http://www.oakland.edu/enp/

エルデシュ数 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%B7%E3%83%A5%E6%95%B0

名前だけ聞くとなんだかすごそうな数「エルデシュ数」ですが、要は論文の共著者を何人たどると
ポール・エルデシュ(生涯に500人以上の研究者と共同研究し1500本もの論文を発表したハンガリーの数学者)
にたどりつくか、という数。エルデシュ本人と共同研究したことがある人物のエルデシュ数は「1」、
エルデシュ数1の人物と共著論文がある人物はエルデシュ数「2」となり、ナタリー・ポートマンの場合は
「共著者の共著者の共著者の共著者の共著者がエルデシュ」だったというわけです。

共著の論文を書いたことがなければエルデシュ数を持つことは不可能で、エルデシュ数を持たない人は
エルデシュ数が「∞(無限大)」であると言うこともあります。アメリカ数学会のデータベースに掲載されている
約200万本の論文の著者40万1000人のうち、有限のエルデシュ数を持つのは26万8000人。
その99.5%はエルデシュ数8以下、エルデシュ数の中央値は5、最大値は13(26万5000人中5人)で、
15以上の有限のエルデシュ数を持つ人はこの世に存在しないと言われています。
これは、スモール・ワールド現象を示す好例としてよくひきあいに出される話で、要は「数学界は狭い」
ということを示しているわけです。

数学の論文を書いたことがあるという人は、以下のリンクから自分のエルデシュ数を調べられるかもしれません。
http://www.ams.org/mathscinet/collaborationDistance.html

エルデシュ自身も数学だけでなくさまざまな分野の人物と共同研究を行ったことにくわえ、エルデシュ数を持つ
数学者との共著がある別の分野の科学者も多いため、数学に限らず医学・理学・工学・社会科学など
さまざまな分野で意外なほど小さなエルデシュ数を持つ人は多いそうです。

理系の学部の卒論や修論などで過去に一度でも共著論文を書いたことがあるという人は、
その共著者の共著者をたどって行けばエルデシュにたどり着くかもしれません。
日本の大学を出た人でも論文の共著者の1人が留学経験のある教授だったりする場合、
その教授の海外時代の論文などから共著者をあたっていくと意外と近いところで
エルデシュと出会うということもありそうです。

現在はエルデシュ数を持っていなくても、一緒に卒論を書いた研究室仲間がその後博士課程などで
エルデシュの共著者の共著者の共著者と共著した、という場合に自分は何もしなくてもいつの間にか
エルデシュ数(この場合は5)を獲得するということもあり得るわけです。例えばエルデシュ数6の人物「A」の
過去の論文の共著者「B」がその後エルデシュ数3の人物と論文を共著し、「B」のエルデシュ数が
4になったことにより「A」の知らないうちに「A」のエルデシュ数が6から5に変わっていた、ということもあり得ます。

ちなみにアルベルト・アインシュタインのエルデシュ数は2(Ernst G. Strausつながり )なので、
有限のエルデシュ数を持つ人はそれに2を足すと「アインシュタイン数」となります。もちろんエルデシュを介さない
最短ルートが存在する場合もありますが、「エルデシュ数+2=アインシュタイン数の上限」
「エルデシュ数+3=マンデルブロ数の上限」と考えることもできます。エルデシュつながりで
「共著者の共著者の共著者の(略)がアインシュタイン」と言うと何だかすごそうですし、
「共著者の共著者の(略)がナタリー・ポートマン」と思うとちょっとうれしいという人もいるのではないでしょうか。

(途中略)
http://gigazine.net/news/20110303_erdos_number/