高血圧および高コレステロールは、中年期の記憶力および知的能力の低下と関連している可能性が、
新しい研究によって示された。この知見は、4月に米ホノルルで開催される米国神経学会(AAN)年次集会で発表される予定。
フランス国立健康医学研究所(INSERM、パリ)のSara Kaffashian氏らは、英国の公務員を追跡した
長期研究「Whitehall II」に参加した平均年齢55歳の英国人男性約3,500人および英国人女性1,300人のデータを評価した。
被験者は、10年間で3回、推理力(reasoning skill)、記憶力、流暢さ(fluency)および語彙(ごい)力を調べる検査を受けた。
推理力検査は、徐々に難度の上がる言語と数学の質問65問から構成され、記憶力検査では20語のリストを思い出してもらった。
流暢さの検査では、1分間でできる限り多くの“s”で始まる言葉か、
動物名を挙げるなどしてもらった。また、年齢や性別、コレステロール値、血圧、喫煙歴、糖尿病の状態を
考慮するいわゆるフラミンガムリスクスコアを評価し、心臓発作や脳卒中、その他の心血管障害が
10年以内に発生する可能性を予測した。
研究の結果、心血管の健康状態が悪い被験者は良好な被験者に比べて、記憶力および知的能力が低い可能性が高く、
例えば、心血管リスクスコアが10%高いと、記憶力検査のスコアは男性で2.8%、女性では7.1%低かった。
時間とともに、心血管の健康状態が悪い被験者ほど、男性の推理力と女性の流暢さを除いて、
精神的作業(mental task)は急激に低下した。
Kaffashian氏は「中年期の心血管リスクが全体的な認知機能低下に関係していることが判明した。
また、心血管スコア不良と10年間での全体的な認知機能低下との間に関連が認められた」と述べている。
米国心臓協会(AHA)会長であり、米マイアミ大学ミラー医学部神経学・疫学・ヒト遺伝学教授のRalph Sacco博士は、
「高血圧や糖尿病、喫煙、高コレステロール、運動しないことは、体内の大血管だけでなく脳の小血管の狭窄にもつながる。
これらにより血流が減少し、脳の酸素が欠乏して思考や認知力などに変化をもたらす可能性がある。
血管の危険因子をコントロールすれば、認知機能低下を軽減または未然に防ぐことができる可能性がある」という。
▽記事引用元 健康美容EXPO(2011年2月28日 12:30)
http://news.e-expo.net/world/2011/02/post-119.html ▽元記事 HealthDay News 2月21日
http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=650108