成人T細胞白血病に関与の遺伝子 京大グループが解明
2011.2.15 21:31
ウイルスが原因となる血液のがん「成人T細胞白血病」で、「HBZ」と呼ばれる遺伝子ががん化に強く
関与している可能性が高いことを、京都大ウイルス研究所の松岡雅雄所長の研究グループなどが
突き止めた。成人T細胞白血病は骨髄移植以外に有効な治療法が見つかっておらず、
治療のターゲットの絞り込みにつながることが期待されている。
成人T細胞白血病はこれまで「Tax」というウイルス遺伝子ががん化に強く影響を与えているとみられてきた。
ところが、京大グループのマウスの研究では、成人T細胞白血病を発症させた多くのケースでTaxは壊れ、
すべてのケースでHBZが発現していた。
さらにHBZが免疫細胞の「Tリンパ球」を、免疫機能を抑制した「制御性Tリンパ球」に変換し、その後、
がん化させている流れも解明した。
成人T細胞白血病は日本では年間約千人が発症。母乳などで感染し、発症の平均年齢は60歳ごろと
潜伏期間が長い。浅野史郎前宮城県知事がこの病気と闘っていることでも知られる。
松岡所長は「HBZに的を絞ったワクチンが開発されれば治療の進歩につながる」と話している。
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▽記事引用元 産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/science/news/110215/scn11021521310005-n1.htm ▽関連
PLoS Pathogens
HTLV-1 bZIP Factor Induces T-Cell Lymphoma and Systemic Inflammation In Vivo
http://www.plospathogens.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.ppat.1001274