特殊な酵母を利用して作った糖脂質分解酵素を脳室内に投与し、神経難病マウスの運動機能を改善させることに、
徳島大学の研究グループらが世界で初めて成功した。
厚生労働省指定の難病「ライソゾーム病」の治療に道を開く成果で、9日付の米神経学会誌「アナルズ・オブ・ニューロロジー」電子版に掲載される。
成功したのは、同大大学院ヘルスバイオサイエンス研究部の伊藤孝司教授、辻大輔助教と産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の研究グループ。
伊藤教授らは、メタノールをエネルギーにして大量の酵素を作る特殊な酵母「オガタエミヌータ株」に着目。
酵母にヒト遺伝子を組み込む方法で糖脂質分解酵素「ヘキソサミニダーゼA(HexA)」を作った。
これまではハムスターの卵巣細胞などを培養して酵素を生成していたが、伊藤教授らの方法で作った
HexAは、より神経細胞内に取り込まれやすい構造をしている。その上、大量に作れる利点があるという。
このHexAを歩行障害や筋力低下などの神経症状があるサンドホッフ病のマウスの脳室内に投与した結果、
運動機能が改善し、歩行できるようになった。
さらに、投与していないマウスに比べて平均寿命が2週間長かった。
サンドホッフ病と同様の症状が出るテイサックス病のマウスでも効果が見込めるという。
サンドホッフ病とテイサックス病は、約40種類あるライソゾーム病に含まれる。
いずれも糖脂質を分解するHexAが足りず、糖脂質が神経細胞内に蓄積することが原因で発症することが
分かっているが、臨床試験が少なく、根本的な治療薬はない。
厚労省によると、ライソゾーム病の患者は全国で729人、徳島県内には5人いる。
画期的な成果
明治薬科大学の櫻庭均教授の話 新しいバイオ医薬品に結び付き、治療に応用できる可能性のある画期的な成果。
酵母を使うことで、安価で大量に酵素を作れる点も評価できる。
▽記事引用元 徳島新聞(2010/12/9 14:42)
http://www.topics.or.jp/localNews/news/2010/12/2010_129187337021.html ▽ライソゾーム病(ファブリー病を含む)に関して(厚生労働省難治性疾患克服事業 )
http://www.japan-lsd-mhlw.jp/lsd_doctors/gm2.html ▽ Annals of Neurology
「Highly phosphomannosylated enzyme replacement therapy for GM2 gangliosidosis」
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ana.22262/abstract 依頼がありました。
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1286952297/387