スペイン風邪ウイルスに増殖タンパク質 静岡県立大・鈴木教授らが確認
2010年12月8日
新型インフル病原性解明に期待
1918年に全世界で猛威を振るったスペイン風邪インフルエンザウイルスが、
カモインフルエンザウイルスと似た増殖能力を高めるタンパク質を持っていることを、
静岡県立大薬学部の鈴木隆教授、高橋忠伸助教らのグループが突き止めた。
このタンパク質を介したウイルス増殖の仕組みが解明されれば、
鳥由来の新型インフルエンザの病原性が分かり、
治療薬の開発につながる可能性も広がるという。
成果は8日、米科学誌「プロスワン」に掲載される。
インフルエンザウイルスの増殖には、ノイラミニダーゼ(NA)と呼ばれる遺伝子からつくられる
タンパク質が関係していることが分かっている。
鈴木教授らのグループは、スペイン風邪ウイルスの性質を研究する中で、
そのNAがヒトの季節性インフルエンザウイルスと異なり、
酸性の環境でも壊れず、安定した状態で存在できることを確認。
この性質は、鳥インフルエンザの起源とされるカモインフルエンザのNAに似ていることが分かった。
酸に弱い季節性インフルエンザウイルスのNAは、ヒトに感染しても、細胞内の酸性の強い
部分で増殖能力を失うが、スペイン風邪インフルエンザなどのNAは酸に強いため、
季節性インフルエンザより10倍以上の増殖性があるという。
鈴木教授は「NAがどのように増殖性を高めているか、その仕組みを解明するのが今後の課題」と話す。
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▽記事引用元
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20101208/CK2010120802000127.html 中日新聞(
http://www.chunichi.co.jp/)配信記事