国際宇宙ステーション(ISS)で栽培・収穫された「宇宙小麦」のタネの栽培実験が22日、
岡山大資源植物科学研究所(岡山県倉敷市)で始まった。約半年後の収穫まで、
生育状況を観察し、宇宙環境が生物に及ぼす影響を調査する。
宇宙小麦のタネは、同研究所の杉本学准教授(50)が、共同研究している「ロシア科学アカデミー生物医学研究所」から9月に託された5粒。
昨年3月、宇宙へ旅立ちISSのロシアモジュール(住居兼研究棟)で栽培、収穫され、今年3月、ロシアのソユーズが地球に持ち帰った。
この日は、杉本准教授がタネの重さを計量し、水を張ったシャーレー(ガラス皿)に、
タネをピンセットで丁寧に植え付けた。また比較研究のため、
この5粒のほか昨年3月以前にロシアで栽培し宇宙で1年間保存していた別の小麦のタネと、
同時期にロシア国内で1年間保存していた小麦のタネの2種類も、植え付けられた。いずれもロシア側から提供された。
植え付けられたタネは20度の温度に保たれた培養庫で栽培され、順調にいけば2、3日で発芽。半年後には収穫できる。
その間、葉の大きさや色、形などの生育状況を観察する。
杉本准教授によると、小麦は通常、5粒から500粒程度のタネが収穫できるとされるが、
宇宙小麦は5粒で計15粒しか収穫できなかった。今回、栽培を託されたのはこのうちの5粒。
杉本准教授は「重力で受粉が十分でなかったとか、宇宙放射線の影響などが考えられる。
植え付けた宇宙小麦にも、そうしたことが関係するかどうかも研究したい」と話している。
▽写真 宇宙小麦の植え付け作業をする杉本准教授=22日、倉敷市の岡山大資源植物科学研究所
http://sankei.jp.msn.com/photos/science/science/101122/scn1011222243004-p1.jpg ▽記事引用元 産経新聞(2010.11.22 22:41)
http://sankei.jp.msn.com/science/science/101122/scn1011222243004-n1.htm