ココアはタンパク質やカルシウムが豊富で、ポリフェノールも多い。飲むと落ち着くし、集中力が高まる…。
そして新型インフルエンザワクチンの働きを手助けすることが分かった。
徳島市で開かれた「第58回日本ウイルス学会学術会議」で8日、森永製菓と埼玉医科大学、大阪府立公衆衛生研究所による研究チームが発表した。
ココアの効き目を飲みながら考えてみませんか?(川村達哉)
チームの研究対象は、新型インフルにかかったことのない男女123人(平均年齢は約40歳、男女比7対3)。A=63人、B=60人の2グループに分けた。
Aには森永製菓のココア「カカオ2倍」を毎朝1杯飲んでもらい、Bにはココアを飲まないようにしてもらう。
あとはA、Bとも普段どおりの生活をしてもらい、全員から採血をした後に臨床試験開始。1週間が経過したところで、A、Bともに新型インフルエンザのワクチンを接種した。
その2週間後、全員から採血して、人体の中でがんやウイルスの感染細胞を破壊するナチュラルキラー細胞の強さを示す指標「NK活性」の変化を調べた。
ココア摂取群=Aは、対照群=Bに比べて、明らかにNK活性が高くなったという。
研究チームの亀井優徳(まさのり)さん(59)=森永製菓研究所分析研究室長=は、「統計的な有意差が現れました。
つまり、この結果とは違うことが起こる可能性は5%以内です。ココアを毎日飲んでいると、ワクチンを打った場合、
その効果が高まり、新型インフルにかかりにくくなることが十分、期待できそうです」と話す。
埼玉医科大学総合医療センター・高度救命救急センター准教授の間藤卓(まとう・たかし)さん(48)は、「NK活性が高まったことは大変興味深い。
インフルに限らず、今回の成果を別の病気に応用できるかもしれません。ココアはアレルギーが少ないし、おいしいって大事です。医療にも生活にも摂取しやすいですから」
森永製菓と大阪府立公衆衛生研究所は、ココアの持つインフルエンザに対する効用を探り、
平成17年に試験管、19年と21年にマウスでの試験や有効成分の大まかな特定に成功。今回、埼玉医科大学の協力を得て、人での実証に実を結んだ。
徳島市での学会では亀井さんがチームを代表して、研究のポイントを掲示したコーナーに立った。「ココアという着眼点がいい。
身近だから」「人の臨床試験をしたところに興味を引かれた」…。大学や製薬会社などの研究職らから感想や質問が多く出された。
「ココアでなぜNK活性が高まるのか、メカニズムを知りたいという方々がいました。ぼくらも同感です。これからも研究を続けていきたいです」と亀井さんは話した。
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【用語解説】NK活性
がんやウイルスの感染細胞を標的として破壊するナチュラルキラー(NK)細胞の働きの強さを表す、生体の免疫力の指標。
緑黄色野菜を食べたり、適切な運動をしたりすると高まるという研究がある。
▽記事引用元 産経新聞(2010.11.12 08:01)
http://sankei.jp.msn.com/life/body/101112/bdy1011120805000-n2.htm ▽写真 「ココアを飲むと新型インフルのワクチン効果は高まるか…」。
日本ウイルス学会で発表する森永製菓研究所の亀井優徳さん=徳島市
http://sankei.jp.msn.com/photos/life/body/101112/bdy1011120805000-p1.jpg ▽リンク 森永製菓カカオ栄養研究所
http://www.morinaga.co.jp/cacaofun/labo/influ_01.html