カラスが人間の男女の顔を識別する能力があることを、宇都宮大と東京農工大の連合大学院博士課程のエチオピア人留学生、
ベザワーク・アフェウォークさん(32)が実験で証明し、米国の科学雑誌に発表した。
顔の輪郭などの情報を基に、男女の差を見分けている可能性が高いという。【山下俊輔】
住宅街でよく見かけるハシブトガラス4羽を使い、男女の顔写真を見分けられるかを実験。
最初に髪形を隠したカラーの写真を見せ、男性の写真を選ぶと餌のチーズがもらえる
▽女性の写真を選ぶとチーズがもらえる−−という二つのグループに分け、カゴの中で訓練を繰り返した。
その後、同様に髪形を隠した別の男女の写真を加え、組み合わせや位置を入れ替えながら提示したところ、
4羽のうち3羽は事前訓練を受けた性別の写真を20回中20回選び、残る1羽も70%の確率で見分け、チーズを獲得した。
一方、写真を白黒にした場合、見分ける確率は50%に低下。顔の輪郭を丸く加工し、性別が分かりにくくした場合も確率が下がることが判明した。
カラスの生態に詳しく、「カラス博士」として知られる杉田昭栄(しょうえい)・宇都宮大農学部教授(神経解剖学)によると、
カラスが男女の顔を分類することが分かったのは世界初。
杉田教授は「この特性を利用すれば、カラスを寄せ付けない方法を考えることができるかもしれない」と評価する。
◇「人間と同じような能力、共存思想の基盤に」
ベザワークさんは「人間と動物には摩擦があるが、人間と同じような能力があることを知ることは、共存思想の基盤にもなる」と話している。
▽記事引用元 毎日新聞 2010年11月11日 10時36分(最終更新 11月11日 12時27分)
http://mainichi.jp/select/science/news/20101111k0000e040011000c.html ▽写真 ベザワークさん(右)と杉田教授=宇都宮大で、山下俊輔撮影
http://mainichi.jp/select/science/news/images/20101111k0000e040005000p_size5.jpg