精巣腫瘍の悪性化には、男性に特有のY染色体にある
遺伝子からできるタンパク質がかかわっているとの研究結果を、
東京大分子細胞生物学研究所の加藤茂明教授らが
2日付米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
日本の精巣腫瘍の患者は欧米に比べ少なく、10万人当たり2人程度。
だが生殖年齢の20〜40代に発症が多く、
悪性化するとほかの臓器への転移の危険性も高い。
発症や悪性化の仕組みはほとんど分かっておらず、
精巣摘出以外の治療法はないという。
精巣腫瘍は、男性ホルモン「アンドロゲン」と受容体が結合してできた物質が
細胞核の中に異常に多く入ると、細胞が増殖し悪性化する。
加藤教授らは腫瘍細胞を使った実験で、
Y染色体の遺伝子からできる「TSPY」というタンパク質が存在すると、
この結合物質が核に入るのを防ぐことを見つけ、
TSPYが細胞増殖の“ブレーキ役”と判断した。
腫瘍が悪性化した患者の細胞ではTSPYの生産量が少なくなっていた。
悪性化した患者とそうでない患者は遺伝子の違いはなく、
タンパク質を作る過程で問題が起きているのではないかという。
47NEWS(共同)
http://www.47news.jp/CN/201011/CN2010110101000743.html PNAS
Testis-specific protein on Y chromosome
(TSPY) represses the activity of the androgen
receptor in androgen-dependent testicular germ-
cell tumors
http://www.pnas.org/content/early/2010/10/28/1010307107.abstract